実践報告「身体で季語を感じよう オンライン句会の実践

http://itsuki.natsui-company.com/?eid=5619 【実践報告「身体で季語を感じよう オンライン句会の実践」】より

日本俳句教育研究会ホームページに興味深い実践が!

こんなふうに、六角季語成分図を活用して下さってるとは!

石鍋先生ありがとうございます。

■お知らせ nhkk(日本俳句教育研究会)より♪

本日より3日間にわたりまして、ブログページにて東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生より届きました実践報告「身体で季語を感じよう 〜オンライン句会の実践〜」をご紹介いたします。

石鍋先生は、俳句の授業を「言語技術を高めながら感性も高めることができるという点において、非常に魅力的だと感じ」られているそうで、「特にこの数年の個人的なテーマとして短詩形文学の授業」を実践されていらっしゃいます。

掲載の実践は、「学校ではテスト前後の一・二時間を埋めるために使われていることも多いように感じ」る俳句の授業ではなく、「教育のICT化が必須の現在」ならではのオンラインを使ったものとなっています。ぜひご参考になさって下さい。

http://info.e-nhkk.net/?eid=1350601 【身体で季語を感じよう ~オンライン句会の実践~ ①】より

東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生より届きました実践報告をご紹介いたします。

石鍋先生は、俳句の授業を「言語技術を高めながら感性も高めることができるという点において、非常に魅力的だと感じ」られているそうで、「特にこの数年の個人的なテーマとして短詩形文学の授業」を実践されているとのことです。

本実践は、「学校ではテスト前後の一・二時間を埋めるために使われていることも多いように感じ」る俳句の授業ではなく、「教育のICT化が必須の現在」ならではのオンラインを使ったものとなっています。

ブログでは3回に分けてご紹介させて頂きます。

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身体で季語を感じよう〜オンライン句会の実践〜

はじめに

 新型コロナウィルスの影響で、学校は休校や行事の縮小が行われた。また、話し合い活動などの授業さえも通常通りできなくなった。それでも生徒たちは、積極的に休校中も登校後も学習に取り組んでいた。これは多くの教員が共通して感じていることなのではないだろうか。しかし、様々な活動が制限されたことで、生徒に大きなストレスがかかっていたことは確かだろう。本授業は、言葉の本質を捉え、言語に関する細やかな感性を育てること、そして、生徒が日常に細やかながら楽しみを持てるように設定した。

対象

大泉高等学校附属中学校二年生

時期

2020年12月中旬

目標

【知識・技能】

エ 抽象的な概念を表す語句の量を増やすとともに、類義語と対義語、同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し、話や文章の中で使うことを通して、語感を磨き、語彙を豊かにすること。

【書くこと】

イ 伝えたいことが分かりやすく伝わるように、段落相互の関係などを明確にし、文章の構成や展開を工夫すること。

一時間目:季語を五感+αで感じる

 『夏井いつきの季語道場』の、「六角成分図」(※事務局注)を用いて二つの季語を比較し、言葉の持つ細かな違いについて教員が説明をする。

 まず、「幽霊」と「百物語」、「雷」と「稲妻」の違いについて、六角成分図を使用して説明した。連想力は共通するが幽霊と比べ百物語は嗅覚などがのイメージが強いこと、雷は聴覚優位であることと稲妻は視覚優位であることの説明をした。

 次に、生徒は、季語を一つ選び、今現在のイメージを六角成分図に書き込んだ。季語は、「日向ぼこ」「冬の空」「冬の風」「冬の鳥」「落ち葉」「枯れ葉」を示し、そこから選んだ。これらの季語は、学校内で感じることのできるものを設定した。

 その後、生徒は学校の敷地内に出かけ、実際に季語を感じに行った。生徒は思い思いの仕方で季語を感じており、日当たりの良い場所で日向ぼっこをする者、友達と座って空を眺める者、落ち葉を集めて踏みしめ、飛び込む者など、様々な形で季語を全身で捉えていた。

 教室内に戻り、実際に季語を感じた後のイメージを六角成分図を色付きペンで書き加えさせ。また、感じたことをメモとして残させた。これを俳句の材料として使うように指示をした。

 下の画像では、「鼻がツーンとした」「青空がよく見えた」「色々な音が聞こえた そのうち聞こえなくなった」など、日向ぼっこで感じたことをメモしている。

 最後に、俳句創作のポイントとして「六角成分図にないものを意識する」または「感覚一つに特化する」の二点を示して、俳句を創作させた。この時間内に終わらない分は課題とした。

※事務局注:「六角成分図」は、副会長夏井いつきの書籍『NHK俳句夏井いつきの季語道場』に掲載しているもので、季語を味わうための成分図です。

「身体で季語を感じよう ~オンライン句会の実践~ ②」に続く

https://minamiyoko3734.amebaownd.com/posts/29876520 【身体で季語を感じよう ~オンライン句会の実践~  ②】より

昨日に引き続きまして、東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生の実践報告の第二回です。

今回は、石鍋先生がオンライン上で生徒に示された資料(ORコード&アドレス指示での配布ですが、本ブログでは画像にて掲載)を中心にご紹介します。

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課題:オンラインで投句・選句する

 Microsoft Formsというアンケート機能を使用し投句・選句を行った。生徒はアンケートの指示に従い必要事項を記入し、俳句を1~3句提出した。俳句の提出にあたっては、プリントへのQRコード添付やアドレスの指示によって行った。

 選句は、提出された俳句を教員が整理して、選句用アンケートを作成した。選句は複数選択可とし、選択できる句数に制限は設けなかった。また、本校教員等にもアンケートをメールで送付し、句会に参加してもらった。

 投句会場の例、選句会場の例は以下の通りである。

投句用アンケートフォーム

選句用アンケートフォーム

「身体で季語を感じよう ~オンライン句会の実践~ ③」に続く

http://info.e-nhkk.net/?eid=1350603 【身体で季語を感じよう ~オンライン句会の実践~  ③】より

連日ご紹介してきました、東京都立大泉高等学校附属中学校の石鍋雄大先生の実践報告の最終回です。

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結果と生徒の感想

 ある組の上位句と感想は以下のようなものであった。

 オリオンの下で誰かを想う夜

 日向ぼこ眩しい日差しと体育と

 白黒のジムの広告冬の空

 冬の空ソフトクリーム少なめです

 かすんでるやまってどんな色だろう

・みんな、同じ季語を使っているのに全然違う句ができるんだなと思いました。クオリティーが高いと思いました。

・同じ落ち葉の季語で句を詠んでいたけど、落ち葉を「木の涙」と表現するのは、自分じゃ読めないと思いちょっとヤバいなと思った。また「空見上げ落ち葉のなかの蒼さみる」の「青さ」と「蒼さ」のちがいと意図が知りたいなと思った。

・どの句もレベルが高く、大人が作ったと言われても納得してしまうと思います。全体的に「日向ぼこ」が多いと感じました。同じ日向ぼこなのに作風が全く違くてとても楽しめました。みんなの語彙力の高さも垣間見え、少し危機感を覚えたりもしました。 機会があれば今後もやってほしいなと思います。季節縛りいいと思いました。

・漢字でも表せる部分をあえて平仮名にしたり、時間の一部や一瞬を切り取っていたりという工夫が多かった。自分の句にもぜひ取り入れたいと思った。そして誰か僕に時間軸の一瞬切り取ってうまく詠むコツを教えてほしいと改めて思った。

まとめ

 オンライン句会は、一部運営上の難しさもあったが、それは教員の指示によるものであった。

①具体的には、年末という時期的問題とオンラインの活動への未習熟による提出率の低さ、

②指示通りに提出されない

等である。

 しかし、課題に対して効果的な点が多くあった。

①オンラインのアンケート形式と句会という形式の共通点が多く親和性が高いため、スムーズに行えた点、

②無記名のため安心して投句・選句ができる点、

③授業時間外も使ってゆっくり考えられる点、

④学校を超えた外部も巻き込んだ活動が可能になる点

等である。

 また、生徒の作品は、身体感覚に着目した効果的に言葉を使えている作品が数多くあるように感じている。生徒の感性は、非常に豊かで瑞々しい。その瑞々しさをどれだけ保ったまま、また、より育てていけるかは、我々教員の指導が大きな役割を果たすように感じる。継続的に言葉に着目する指導をすることで、言語的な技術を高めるとともに、感性も豊かにしていきたい。そのために、俳句教育は非常に効果的なのではないなと考えている。教育のICT化が必須の現在だからこそ、オンライン句会もより効果的な活動ができるように更新していきたい。

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石鍋先生、コロナ禍の今、正に私たち教員が模索している授業方法に示唆を与えるご実践をお送り頂きましてありがとうございました。

本実践をご覧になってのご感想などもお待ちしております。

日本俳句教育研究会では、皆様からの実践報告をお待ちしております。

お便りフォーム、もしくは、nhkk.info@gmail.com 宛にメールにてぜひともお寄せ下さい。

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