内容説明
2003年急逝した故・津江篤郎画伯の遺した渾身の絵画15点と、今注目の俳人・五島高資氏の「いづはらに竜の背中が動きおり」 「落椿たどって水をむすびけり」 他の13句が響きあう、まったく新しい作品集。
https://gendaihaiku.gr.jp/about/award/newface_award/page-4003/
【平成7年度 第13回現代俳句協会新人賞 五島高資(ごとう・たかとし)】 より
「対馬暖流」 五島高資
ぬばたまの闇夜に滑り込む対馬 帰郷後を畳の上にゆれている
ジェット機で飛ぶ精神とかしわ餅 五階から蘇鉄まる見え間氷期
籐椅子のひとまわりほど惚けおり 半島が溺れつつあり濃紫陽花
耳鳴りにイルカ近づく午睡かな 踵から流され芋の花ざかり
ガジュマルを祀り瞼の裏に入る 背骨透くように禁漁区を泳ぐ
飛魚の本気に赫赫たる日輪 暖流へ海人の涙痕まぎれ込む
トマト食べ段々畑にて果てる 爪立って日矢にからまる楠や腕
断崖の火星に触れる沙羅の花 はまおもとからパライゾが見えている
右手より熔かす入り日の日本海 蛸壺に卑弥呼眠れぬ闇夜あり
檜扇の花びら海を出たばかり 伏竜に見つかりそうな桃の種
たくさんのやがてがあるよ紅葉山 紅葉やら言葉やら降る溺れ谷
コスモスのよろめく満月からの風 月面が眼科の闇に吹きすさぶ
海峡を鮫の動悸と渡るなり あらたまのバックミラーにあふれたり
山猫がうつつをぬかす落椿 間脳に耶蘇の島あり鐘かすむ
春の雲になれず発電所のけむり 飛べそうな気がする永き日の岬
五島高資 著『わたつみの道 - 対馬滞在記 -』
その対馬の病院に内科医として赴任することになった。自治医科大学を卒業した医師は日本全国に散らばる医師不足に悩む僻地の医療に従事することになる。わたしは長崎県の離島医療に従事すべく、対馬いづはら病院への勤務を…
コメント
海峡を鮫の動悸と渡るなり 高資
詠わずにはいられない心境が少し分かりました
飛べさうな気がする朝焼けの岬…好きです…痺れます♪
「わたなかに都ありけむ合歓の花 高資」
もう20年前、対馬いづはら病院の官舎で撮った写真です。近くには雨森芳洲や文覚上人の墓などありました。
たまたまお目にかかった対馬厳原八幡宮の宮司さんから、先生にお目にかかるのは前から知っていましたといって、ご自分で訳されたという古事記を頂いたのを思い出しますいま図らずも古事記を研究している思えば不思議なご縁でした。
対馬市上対馬町鰐浦の韓国展望所で撮影したものです。この日は残念ながら韓国を見ることはできませんでしたが、とてもきれいな夕景に遭遇しました。夕日の向こうは中国大陸です。
昔は道路が狭くて大変でした。トンネルも多く出来て便利になった現在でも南端の豆酘から北端の比田勝までは百キロ以上あり,また山も険しく、対馬の山々は神聖にして入山を制限されています。だからこそツシマヤマネコが生息できるのかもしれません。厳原では、かつて皇族方や高浜年尾先生が逗留した立派な古藤一杏子先生のお屋敷でよく句会に参加したものです。
さざなみの残る巌や布海苔採る 高資
漣痕に寄する潮や青葉山 高資
さざなみを渉る人あり青岬 高資ー 場所: 比田勝(上対馬)
縞々の海岸は、約3,000万年前・地質時代の水流によって出来た漣痕(さざなみの化石)です。この近くでは、直径1cm長さ数メートルのヒジキがとれます。神の山ゆえ手つかずの原生林が残る対馬ならではの天恵です。在宅診療で訪ねた患者さんの家でよくごちそうになりました。そういえば、ある日、玄関の前に鰤が一本置かれてあった時もありました。
わたつみの雲居に通ふ青嶺かな 高資
浅茅湾・対馬
Along the blue mountains
the sea god “Watatsumi” comes and goes
into the cloudy sky Takatoshi Goto
ー 場所: 対馬
https://www.tsushima-net.org/special/history/chronology1
【対馬の歴史(古代~安土桃山時代)】 より
「阿比留」(あびる)姓はアヒル文字を連想させます。
対馬地方で使用されていたらしい「阿比留(アビル)文字」、「神代 ...
crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id... - キャッシュ
資料2:「阿比留文字(あひるもじ)」の項に、「古代、漢字の渡来以前にすでに存在していたという神代文字の一つ。日文(ひふみ)と呼ばれる文字の異称。対馬国卜部阿比留氏に伝わったとされるところからいう。諺文(おんもん)に類似する。平田篤胤によって積極 ..
永き日の水脈に分かれる対馬かな 高資
綿津見と海原むすぶ瀬戸の春 高資
万関瀬戸・日本海と東シナ海を結ぶ運河
春風や水面にゆれるオメガ塔 高資
日本海入れて陽炎ふ溺れ谷 高資
かつて東洋一高かった塔・対馬オメガ局送信用鉄塔ー 場所: 対馬
私は比田勝の上対馬病院に勤めていました。一重の診療所に出張していたときによくこの鉄塔を見かけたものです。その時の写真です。今は残念ながら解体されてしまったようです。冬は舟志湾から白い烟が立ち上っているのがとても幻想的でした。紅葉の季節もいいですよね。なつかしい場所です
龍淵に潜んで磯良恵比須かな 高資
磯良恵比須・和多津美神社
写真は平成7年のもので、現在は三本足の鳥居によって囲われています。満潮になると海水で満たされます。豊玉姫が鵜草葺不合命を出産した場所と云われています。
ー 場所: 対馬市
対馬は島国にして山国である。 太古、朝鮮半島と九州の間の地峡が海没したとき、辛うじて没することを免れた山巓が対馬である。連なる尾根は岬となり、山峡は溺れ谷となった。そして「山険しく深林多く道路 狭し」
昔は道路が狭くて大変でした。トンネルも多く出来て便利になった現在でも南端の豆酘から北端の比田勝までは百キロ以上あり,また山も険しく、対馬の山々は神聖にして入山を制限されています。だからこそツシマヤマネコが生息できるのかもしれません。厳原では、かつて皇族方や高浜年尾先生が逗留した立派な古藤一杏子先生のお屋敷でよく句会に参加したものです。
facebook和多都美神社(対馬) 投稿記事
對馬の嶺は 下雲あらなふ 可牟の嶺に たなびく雲を 見つつ偲はも
『万葉集』でうたわれた対馬の嶺
ここは和宮は、この歌の舞台とは違いますが、ここからのぞむ山々と海、海鳥居、
こんな美しい景色を日本の皆さんに知ってほしい。
神様を感じます。
わたなかに都ありけむ合歓の花 高資
南風やなんぢやもんぢやの花の四手 高資
依代のなんぢやもんぢやや南吹く 高資
海照らし咲くや息長帯比売 高資
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