疫病・新型コロナは何が“新型”?免疫システム暴走の脅威

https://courrier.jp/news/archives/87912/?ate_cookie=1589098954

https://medicaldoc.jp/column/2019-ncov-2/  

【新型コロナは何が“新型”? 既存のコロナウイルスや肺炎との違いとは】

中国・湖北省武漢市を中心として拡大を続ける新型コロナウイルス。中国以外の各国でも感染者が相次いで報告されており、日本でも21名の感染が確認されています(2月6日時点、無症状感染者とクルーズ船の感染者除く)。SARSやMERSなどの原因となったコロナウイルスの「新型」ということですが、従来のコロナウイルスとは何が違うのでしょうか? また、従来の肺炎やSARS、MERSとの違いとは? 東京慈恵会医科大学附属病院で感染症科医長を務める堀野哲也先生に伺いました。

そもそも「コロナウイルス」とは何なのでしょうか?

堀野先生

コロナウイルスはヒトでの風邪の原因となるウイルスとして知られており、4種類のコロナウイルス(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)がヒトに感染し、成人が発症する風邪の10~15%程度、流行期は35%を占めています。

これらのコロナウイルスの他に、2002年11月から中国広東省から広がった重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルス(SARS-CoV)、2012年サウジアラビアで初めて報告された中東呼吸器症候群(MERS: Middle East Respiratory Syndrome)を引き起こすMERSコロナウイルス(MERS-CoV)が同定され、計6種類のコロナウイルスがヒトに感染症を起こすことが知られていました。

今回の新型コロナウイルス(2019-nCoV)はヒトに感染することが明らかとなった7番目のコロナウイルスです。

編集部

ウイルスはなぜ変異するのですか?

堀野先生

ウイルスや細菌は外来遺伝子の獲得や突然変異により強毒化する可能性や薬剤に耐性となる可能性が常にあります。ただし、今回の新型のコロナウイルスは日本国内で感染が確認されたコロナウイルスと、中国で初期に採取されたコロナウイルスは99.9%相同性が保たれており、短期間での大きな遺伝子変異は起こっていないことが確認されています。

編集部

SARSやMERSとの違いは何なのでしょう?

堀野先生

SARSはジャコウネコからの感染が疑われ、致死率は9.6%(8096人中744人死亡)、MERSはヒトコブラクダからの感染と考えられており、致死率は34.4%(2494人中858人死亡)と報告されています。新型コロナウイルス感染症の致死率は、現時点で2%程度と考えられています。

編集部

新型コロナウイルスはすでにSARSを超える感染者数になっていますが、感染力にも差があるのでしょうか?

堀野先生

感染者1人から平均何人に感染させるのかを示す「基本再生産数」は、新型コロナウイルス感染症では2-3と報告されており、1人の感染者からだいたい2~3人に感染するということになります。これはMERSの0.5-1より高く、SARSと同程度から低い数値で、季節性インフルエンザと同じくらいの感染力となりますが、現時点で診断された感染者数を対象としているため、今後、変更となる可能性があります。

ちなみに、世の中で最も感染力の強いウイルスの一つに麻疹(はしか)ウイルスがあり、その基本再生産数は12-18とされています。

編集部

症状に違いはありますか?

堀野先生

新型肺炎の主症状は発熱や咳、息切れなどの呼吸器症状です。一方で痰や頭痛の頻度は低く、SARSやMERSでみられた下痢のような消化器症状の頻度は少ないようです。また、ウイルスに感染した後に発症するまでの潜伏期間は2~14日(中央値5.2日)とされています。

編集部

既存の肺炎とはどう違うのですか?

堀野先生

マイコプラズマ肺炎のように痰をあまり伴わない咳が特徴的な肺炎もありますので、症状から新型コロナウイルス感染症による肺炎を鑑別することは困難です。CT画像で肺にすりガラス陰影や濃い浸潤影(consolidation)を認めたことが報告されていますが、特に発症初期の胸部エックス線では異常影がわかりにくいこともあるようですので、現状では渡航歴や接触歴を確認し、厚生労働省が提示している定義と照らし合わせることが重要です。また、コロナウイルスに対して医学的に有効性が証明された抗ウイルス薬がないことが、一般的な細菌性肺炎とは異なります。ただ、忘れてならないのは、多くの感染者が抗ウイルス薬や抗菌薬などの特別な治療なしで改善しているということです。


https://www.katoiin.info/blog/2020/03/post-85-727079.html   【2020.03.29更新

新型コロナウイルスによる肺炎とは?他の肺炎と何が違うの?】

新型コロナウイルスについての話題でほぼ占められている昨今、メディアには様々な情報が伝えられています。

特に最近は、世間がよく知っている有名人の方が罹患したというニュースが次々と取り上げられるようになっており、その症状について皆さんの関心が寄せられているようです。

私の外来でも肺炎についてお聞きになる方が非常に多くいらっしゃいますので、本日は現時点(3月29日)でわかっている新型コロナウイルスの肺炎について、わかっている範囲でお話しします(実際私はまだ新型コロナウイルス肺炎と確定した患者を診察しておらず、あくまで今日お話しする内容は論文で報告されている内容と私の知識、それと私が今まで経験した事例を織り交ぜてお話ししようと思います)。

肺というのは、気管、気管支につながる「肺胞」と呼ばれる袋が3億個ほど集まってできている臓器です。そしてその袋と袋のすきまには、血管やリンパ管、それらを支える組織である「間質」という領域があります。

肺では通常呼吸をすることで、空気中の酸素が気管、気管支を通じて袋である「肺胞」に入ってきます。この酸素が「間質」の中にある血管から吸収されることで取り込まれ、心臓に集まったのちに全身に運ばれます。

通常「肺炎」と呼ばれるもので多いのは「細菌性」肺炎です。

これらは、鼻や口から気管支に細菌が入り込み、袋である「肺胞」まで到達して悪さをします。体の中の白血球はこれらの細菌を退治しようと戦い、その結果浸出液という液体が出てきて、袋の中が水浸しになってしまいます。

例えるならば、お互いがカラダを張って直接戦っている「合戦」のようなものです。

すると空気を吸っても肺胞の液体に邪魔されてしまい、血管内に酸素が入らなくなることで息苦しくなります。また肺胞の液体は痰として現れます。

一方、「ウイルス性」肺炎は、上記のような直接的に戦うことによって起こる反応(合戦タイプ)もあるのですが、それだけではなく、これらを排除しようとして自分のカラダの免疫が暴走することによって起きる炎症も大きく影響するとされています(ちょっと正確かどうかはわかりませんが、言うならばデマや恐怖などを与えることで、相手の社会を混乱に陥れる「情報戦」に近いのかもしれません)。これをサイトカインストームと呼び、これらは「間質」そのものや、間質にある「血管」に炎症を起こし傷つけてしまいます。

新型コロナウイルス肺炎に関しても、調べたところ死亡した方の血管、間質からはウイルスが検出されなかったという報告が出されており、これもこのウイルスの肺炎が、ウイルスによる肺の直接的な傷害よりもサイトカインストームが要素として大きいだろうということを示しています(Ann Intern Med. 2020.DOI: 10.7326/M20-0533)。

すると袋である肺胞は傷ついて固くなった間質に邪魔されて膨らみにくくなり、空気が入りづらくなります。加えて肺に届いた空気中の酸素も、固くなった間質や血管の壁に阻まれて取り込まれづらくなり、血中の酸素が不足し、呼吸不全の状態になってしまいます(これは「間質性肺疾患」の状態です)。細菌性肺炎とCTでの見え方もやや異なるため、CTの画像もこのウイルスによる肺炎と診断できる手掛かりであることが多いようです。

このような肺炎に至ると、治療は非常に難しいであろうと思われます。理由としては、全身のサイトカインストームが原因なので、両肺同時に肺炎をきたすケースが多くなるため(その分正常な肺が少なくなる)、細菌とは違いウイルスには(インフルエンザやヘルペスなど一部のウイルスを除いて)直接退治する薬がなく、これらを退治するには体の免疫反応に頼るしかないため、それに一般的にウイルス性肺炎では、これらで弱った肺にさらに細菌がついてしまうことが少なくなく、こうなると本当に厳しくなるためです(そのような意味でも、ご高齢の方に今一番できる対策は、肺炎球菌ワクチンの接種なのかもしれません)。

治療には酸素投与、人工呼吸器、人工心肺(ECMO)なども用いられますが、これらはウイルスを排除するためのものではなく、免疫によってウイルスを排除できるまでの時間稼ぎのためのものです。これらの時間稼ぎの結果、免疫によってウイルスが排除されてサイトカインストームが収まれば症状は改善しますが、どこまでもサイトカインストームが進んでしまうと死に至ってしまうというわけです。

高齢者や持病を持っている方が重症化しやすい理由はまだ明らかではないですが、持病があり免疫が弱っていると正しい反応が出来なくなり、サイトカインストームが起こりやすくなってしまうのかもしれません。

また無症状の方のCTでも間質の炎症像が見られることが少なくないとされており、肺炎の起こしやすさという点では通常のウイルスにはない脅威を持っていると言わざるを得ないでしょう。

現在行われている試みは、さまざまな抗ウイルス薬(ウイルスの遺伝子に働きかけて増殖を抑制するなどをする薬剤)や、他の用途で使用していた薬が転用できないかどうかの試み(吸入薬であるシクレソニドなど)と、このウイルスに対応する免疫をつけるワクチンの開発という試みになります(いくつも治験はすすんでいますが、実用化は少なくとも数ヶ月はかかりそうです)。

とにかくこれらが開発されるまで、社会がしっかりと時間稼ぎをするということが大事になるでしょう。

ですので、改めてのお願いです。

医療機関に受診される際は必ずマスクをつけ、手指の衛生をお願いします(当院にもアルコールがありますので遠慮なくご使用ください)。

診察室でもマスクは外さなくて結構です。

また少しでも新型コロナウイルス感染症が否定できない要素をお持ちの方は(現在の基準はこちら)、必ず保健所への一報をよろしくお願い致します(当院に直接ご来院いただいてもご連絡をお願いすることもございますのでご了承下さい)。

皆さん一人一人と我々の意識が大事になってくる局面です。何卒ご協力の程よろしくお願い致します。


https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/051100281/?P=1

【コロナ患者、本当にこわい「免疫システムの暴走」人体が立ち上げる“戦闘部隊”、サイトカインストームとは】  より

新型コロナウイルス感染症にかかった多くの重症患者にとって、最大の脅威となるのはコロナウイルスそのものではない。人体がウイルスと闘うために立ち上げる“戦闘部隊”だ。

 免疫システムは病原体から体を守るために不可欠だが、時に健康な細胞を傷つける激しい凶器にもなる。免疫反応が暴走する例の一つが、過剰な炎症を引き起こす「サイトカインストーム」だ。集中治療や人工呼吸器を必要とする場合を含め、新型コロナウイルス感染症の最も重篤な事例において、この現象が起こっているのではないかと考えられている。

 サイトカインストームは「新型コロナウイルス感染症にかかった人が亡くなる原因として最も多いものの1つ」と話すのは、米国ボストン市、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のアナ・ヘレナ・ジョンソン氏だ。

 臨床医や研究者たちは、現在も、サイトカインストームがどれほどの頻度で生じているのか、何がそれを引き起こすのかについて調べているところだ。こうした過剰な免疫反応は、新型コロナウイルス特有のものではないため、既存の治療法の中で有効だと思われるものの目星はついている。こうした治療法を他の治療薬と合わせれば、回復のスピードを早められるうえ、科学者たちがワクチンの開発を急ぐ間に致死率を下げられるかもしれない。

「それが、このパズルの鍵のようなものです」と、米ワシントン大学の免疫学者マリオン・ペッパー氏は言う。

免疫システムの暴走

サイトカインストームは症状が表れてから最初の数日間で全身に広がり、驚くほどの速さで勢いを強めていく。こうした状態になるケースとしては、二つのシナリオが考えられる。一つは、免疫システムが新型コロナウイルスを体から駆逐し損ねて、サイトカインがとめどなく放出されることになってしまう場合。もう一つは、感染が収まってからもサイトカインが放出され続ける場合だ。

“嵐”を制御する

 サイトカインストームは様々な病気で見られる。エボラウイルス病(エボラ出血熱)、インフルエンザ、マラリア、エリテマトーデス、特定の種類の関節炎などだ。症状は人によって異なり、新型コロナの重症例における特徴もまだつかめていない。どういう人で起きるのかも定かではないが、遺伝的要因と年齢はいずれも関係がありそうだ。

 とは言え、サイトカインストームはある程度知られているものなので、対処法が開発されている。現在は新型コロナウイルス感染症における効果が検証されているところだ。注目が集まっているのは、重症患者において高濃度で見られるインターロイキン6(IL-6)と呼ばれるサイトカインだ。これに対する効果を期待されている治療薬の一つに、免疫細胞のIL-6受容体をブロックし防犯アラームが聞こえない状態にする、関節炎用のトシリズマブという薬がある。

 初期の複数の報告は、トシリズマブには効果があるとしている。米ネブラスカ大学医療センターの感染症専門医ジャスミン・マーセリン氏によれば、トシリズマブを投与された重症患者たちはその後回復するようだ。しかし、これまでに行われているのは事前に計画された臨床試験ではなく、その場その場でトシリズマブを投与された患者を追跡するものに留まると言う。

 トシリズマブを投与された患者を投与されなかった患者と比較しない限り、新型コロナウイルス感染症に対してどれだけ効いているのか、確かな結論を導くことは難しい。「投与なしに自力で回復していたかもしれませんから」とマーセリン氏は話す。

ラスムセン氏によると、治療のタイミングも重要だ。サイトカインをブロックする治療薬の投与が早すぎれば、ウイルスが「暴走する」ことがあり得る。しかし、待ちすぎれば、患者を救うには遅すぎた、ということになりかねない。

 生死を分けるそのタイミングがいつなのかを示唆する研究はある。IL-6による防犯アラームを聞こえなくするケブザラという治療薬は、人工呼吸器や集中治療を必要とする「重篤」な患者には効果がありそうだが、一段階下の「重症」レベル以下の患者には、特に効果はないようなのである。

新型コロナウイルス感染症へのワンツーパンチ

 専門家たちは、サイトカインをブロックする方法は、ウイルスそのものを狙う抗ウイルス薬と組み合わせた時に最も有効かもしれないと考えている。

「免疫反応にばかり注目して、その原因となっているものを見ないのでは進展しないでしょう」とマーセリン氏は言う。

 先週、米国立アレルギー感染症研究所は、新型コロナウイルスの自己複製能力を弱めるレムデシビルという抗ウイルス薬が、新型コロナウイルス感染症からの回復をある程度早めるようだとの予備的な調査結果を発表した。現在、レムデシビルと組み合わせて臨床試験が行われているサイトカインストーム治療薬とのコンビネーションで、さらに成果が出るかもしれない。

 しかし、この戦術が万全だというわけではないと、マーセリン氏は言う。治療薬同士が干渉して効果を打ち消してしまったり、場合によっては患者の容体を悪化させることもあり得る。

 臨床試験が続く間もパンデミックは広がっており、「結論に飛びつきたくなるものです」とジョンソン氏は話す。「しかし、証拠が出るのを待たなければなりません。毎週毎週、新しい事実が判明するのです」


 現在、答えを出すために、対照群(臨床試験において、研究中の新しい治療を受けない群)を含めた臨床試験が世界で何十と行われている。たとえばフランスで進行中のものでは、64人の「中等症から重症」の患者にトシリズマブが投与され、通常の治療のみの65人と比較して、最終的に致死率および人工呼吸器の必要性が低くなることがわかってきている。

生死を分ける治療のタイミング

 炎症が起こる前にそれを抑える方法もありかもしれないと話すのは、米マサチューセッツ大学医学部の免疫学者、ケイト・フィッツジェラルド氏だ。治療薬としては副腎皮質ホルモンや、やはり関節炎治療薬であるバリシチニブなどがある。いずれも細胞が様々な種類のサイトカインを生成するのを止める。ほかにも、他の病気の治療法として臨床試験が行われているものに、機械で血中からサイトカインを取り除き、サイトカインストームの終結を早めるという方法がある。

 だが、死に至るウイルスを前にしているとあって、免疫反応を抑制する治療法に対して専門家たちは慎重になっている。

「こうした治療法のリスクは、真逆の方向へ行ってしまいかねないことです」と、マーセリン氏は話す。たとえば、免疫を抑制しすぎると、新型コロナウイルスと闘うことができなくなったり、他の細菌や真菌などの病原体が加わるかもしれない。新型コロナウイルス感染症関連での死亡例において、こうした危険な感染が原因となったものは少なくない。


 人間の体には、侵入した者を発見し退治する方法が用意されている。サイトカインは、こうした防御反応を調整するにあたり極めて重要なタンパク質だ。体の防衛軍を結集するために細胞からサイトカインが放出されると、極小の防犯アラームのような役割を果たし、免疫システム全体に侵入者の存在を知らせる。

 通常は、サイトカインの情報伝達によって免疫細胞および分子が感染箇所に動員される。防衛軍を動員する過程で、複数の種類のサイトカインが度々炎症を引き起こす。当該箇所での脅威が小さくなり始めると、サイトカインによる情報伝達は止まり、防衛軍は撤退することになるのが普通だ。

 しかし、サイトカインストームが起こると、「免疫システムが狂ってしまう」と話すのは、米コロンビア大学のウイルス学者アンジェラ・ラスムセン氏だ。サイトカインのアラームは止まるどころか鳴り続け、不必要に兵士を集め続けて、病原体そのものよりも体にダメージを与えてしまうことがある。たった一人の暗殺者を捕らえるために大軍を送るようなものだ。しまいには体全体が戦場と化してしまう。

 サイトカインストームが起こると、血管が大量の免疫細胞で詰まって交通渋滞のようになり、臓器に酸素や栄養分が届かなくなってしまうことがある。また、感染した細胞に向けられたはずの毒性を持つ免疫関連分子が、血管から漏れ出て健康な組織を損傷してしまうこともある。場合によっては、こうした分子の渦が呼吸困難を引き起こす。サイトカインストームが止まらない限り、患者は組織を損傷し、臓器不全を起こし、そして究極的には死に向かうことになる。










コズミックホリステック医療 俳句療法

吾であり・宇宙である☆和して同せず☆競争ではなく共生を☆

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