https://news.yahoo.co.jp/articles/3f1bf88751465be58408772eb92ccd33656d66ad?fbclid=IwAR29t979Oy3J_ODV5QUBhJq6o72_R4Sp_led2H2dOrJEOmcA0vdhztC9YJw
【暑さに慣れていない子供 例年より高い熱中症のリスク】 6/16(火) 11:36配信
時事通信
フェースシールドを着けた子供たち
今年の夏は平年以上の暑さが予想されている。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が熱中症のリスクを上げる恐れもある。特に、体調の不調を言葉で訴えられない乳幼児や、夏休みが短縮される小学生は熱中症対策が重要になってくる。
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の救急診療科の植松悟子診療部長(小児救急医療)は「外出自粛や長い休校で、子供たちが少しずつ季節の変化に対応する『暑熱順化』が遅れがちで、暑さに体が慣れきっていないことが想定される」と問題を指摘する。
◇登下校が減った影響
具体的に言えば、通学だけをとっても、毎日登下校の過程で少しずつ季節の変化に体を慣らす効果がある。しかし、今年は休校により数カ月間、自宅待機で外出も控えていた。その分、発汗など体温調整機能が季節の変化についていかず、熱中症になりやすくなっている。
植松診療部長は「休校期間や自宅待機の分を埋めるためにも、これからの季節はより注意して細かく段階を踏んで順化を進めていくことが、熱中症や体調不良を防ぐためのカギになる。これは、幼児や児童だけではく中高生や成人にも共通する点だ」と強調する。
◇少しずつ体を慣らす
国立成育医療研究センターの植松悟子診療部長
通常の小児救急外来の受診は1~2歳児が多いが、熱中症に関する受診では9歳前後が多い。「クラブ活動だけでなく、遊ぶのに熱中して多少の体調不良を無視して遊びを続けてしまう子も多い。中学生や高校生の部活などでも同様の傾向があるだろうから、ある程度大きくなってからも安心しないでほしい。そして例年にまして小まめな水分補給と休憩が必要だ」と植松診療部長はアドバイスしている。
「長期間自宅に居るという環境が続いたので,日常生活へのリハビリという気持ちで外に出ることから始め、こまめに休憩することが必要。最初はけがをした後のリハビリくらいの負荷と休憩頻度から始め、休憩時は涼しく風通しの良い場所で十分な水分補給をしながら休むこと。その後も、15分程度活動したら休憩を挟む段階から始め、少しずつ休憩の間隔を開けていくのが望ましい」
◇長時間の授業を避ける
もう一つの問題は、休校期間の授業の遅れを埋めるために多くの学校で取られる夏休みを短縮措置だ。校舎への空調の導入は進んでいるが、全校全教室に普及しているとはいえないのが実情だろう。
「今年のように暑熱順化が十分でない児童・生徒が、空調のない暑い教室で長時間の授業を受けるのは熱中症のリスクだけでなく、体力の消耗や集中力の減退などが心配される。こまめな水分補給だけでなく、授業でも最初は15分前後ごとに短い休みを取るような配慮や、比較的涼しい午前中だけの短縮授業のような工夫が必要だろう」と植松診療部長は指摘する。
◇救急車も選択肢に
マスクを着けて商店街を歩く少女
家庭での対応も大切だ。例年にもまして体力を消耗している可能性があるので、十分な睡眠と食事を取らせる。特に乳幼児の7場合、ちょっとした食欲不振や不機嫌になるといった兆候を、保護者をはじめとした大人が見落とさないようにしたい。
そして発熱などの兆候があれば、涼しいところで休ませて経口補水液などでの水分補給に努める。それでも症状が改善しない場合や受け答えがおぼつかない時は、医療機関を受診する。
「新型コロナウイルス感染症の感染拡大以来、救急外来だけでなく通常の医療機関でも発熱患者の受け入れを制限していることが少なくない。かかりつけ医がいれば、受診前に電話で受け入れてくれるか確認し、受け入れていない場合は都道府県ごとにある電話相談で(受診先を)探すか、救急車を呼ぶことを考えてほしい」
◇2歳未満児はマスク着けないで
一方で影響が心配されているマスクについて植松診療部長は「呼吸への影響はあるだろうが、マスクと熱中症に強い因果関係は認められない」としながらも、「屋外の運動時などでは、よほど周囲と密集しない場合は外してもいいのでは」と話している。
同センターは「こどものマスクQ&A」という冊子を作成し、ホームページ(HP)でも公開している。冊子ではマスクによる予防効果などを説明した上で、限界やデメリットも紹介。「熱中症が心配な暑いときや運動するときなどはマスクをしないでね」などと、状況に応じて着用しない方がよい場面もある、と注意を喚起している。中でも、2歳未満の幼児については呼吸の障害になったり、表情を周囲が見にくくなったりするので、着用しないよう呼び掛けている。(喜多壮太郎・鈴木豊)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a215cb3e492470f10ef5a11950bdb4655c38305
【2歳未満のマスクは危険。じゃあ2歳以上は?医師に聞いた驚きのリスク】
6/10(水) 8:46配信
新型コロナウイルスの影響により、いまや日常生活に欠かせないものとなっているマスク。そんななか、日本小児科医会は5月25日に「2歳未満の子どもにマスクの着用は不要で、むしろ危険」との声明を発表しました。
小さな子どもを持つ親からは「2歳以上なら安全なの?」「フェイスシールドは?」など、戸惑いの声も聞こえてきます。
そこで今回は同医会に所属する細部小児科クリニック院長・細部千晴先生に、子どものマスクについて話を聞いてみました。
「2歳未満にマスクは危険」声明の内容
日本小児科医会が発表した「2歳未満のマスク使用」によるリスクは以下のとおりです。
・乳児の呼吸器の空気の通り道は狭いので、マスクは呼吸をしにくくさせ呼吸や心臓への負担になる
・マスクそのものやおう吐物による窒息のリスクが高まる
・マスクによって熱がこもり熱中症のリスクが高まる
・顔色や口唇色、表情の変化など、体調異変への気づきが遅れるなど乳児に対する影響が心配される
また、世界の状況から、下記のようなこともわかってきたとされています。
・子どもが感染することは少なく、ほとんどが同居する家族からの感染である
・子どもの重症例はきわめて少ない
・学校、幼稚園や保育所におけるクラスター(集団)発生はほとんどない
・感染した母親の妊娠・分娩でも母子ともに重症化の報告はなく、母子感染はまれ
2歳以上のマスク使用にも注意が必要
――小さな子どものマスクによるリスクについて、具体的に教えてください。
細部千晴先生(以下、細部):子どもは体温調節をする機能、つまり汗をかく機能が未熟なので、大人よりも体温を下げるまでに時間がかかります。子どもの呼吸が早いのは体温調節のためでもあるのですが、それをマスクで妨げてしまうと熱中症のリスクになります。それに、身体が小さいので地面からの照り返しも強く受けやすいです。
また、マスクを着けていると子どもの顔色・表情が非常にわかりづらくなってしまいます。子供の熱中症の症状は急変しますし、処置が遅れると手遅れにもなりかねません。ボーッとしているように見えるのが、ただ眠いだけなのか、意識障害なのか、ただでさえ判別が難しいのに、マスクをつけていたらなおさらです。
――今回の声明では、なぜ「2歳未満のマスクが危険」とされているのでしょうか?
細部:子どものマスクについて、日本でのエビデンスはまだありません。今回の声明は米疾病予防センター(CDC)やアメリカ小児学会(APP)がすでに出していた同様の警告に準じて出されたものだと思われます。
――2歳以上のマスク使用についてはどのように考えますか?
細部:2歳以上だからといって、先ほど言ったようなリスクが無くなるわけではなく、同じようなリスクがあると考えてください。大人のマスク使用は他人に飛沫を飛ばさないための咳エチケットや、自分の目鼻口を触らないようにするためにとても有効です。
多くの小児科医は、「子どもにマスクは不要。咳エチケットのみで十分」と言っています。それに、マスクを大人しくつけてくれる2歳児、3歳児がどれだけいるか……。はたしてマスクとして正しい付け方になるかというと、正直難しいのではないかと思います。
スポーツ省も「学校の体育の授業におけるマスクの着用は不要である」と声明を出しましたが、外で運動するなど、汗をかくような状況でつけるのは2歳以上であっても避けたほうがいいでしょう。特に布マスクは水分を吸収すると目詰まりして呼吸が苦しくなります。
赤ちゃんへのフェイスシールド「命の危険も」!
――額に装着し、顔全体を透明フィルムで覆う「フェイスシールド」や、「フェイスガード付きの帽子」などもありますが、これらについてはどうですか?
細部:まったく必要ありません。初めてワクチンを受けに来る生後2か月くらいの赤ちゃんでも、フェイスシールドやフェイスガード付きの帽子をつけてくる子がいるそうですが、とても危険だと思います。
マスクと同様に熱中症のリスクもありますし、NICU(新生児集中治療室)などで働いた経験のある先生たちは、新生児・乳児への使用は「非常に危険である」と断言しています。
――どのように危険なのでしょうか?
細部:新生児室の赤ちゃんたちにフェイスシールドを着けている病院もあるようですが、コロナ予防に有効だというエビデンスなどどこにもありません。
ただでさえ、乳幼児突然死症候群の原因は解明されていないなかで、呼吸器が未熟な新生児・乳児に対し、フェイスシールドの内側の酸素濃度が薄くなるような状態を引き起こすことは、命を危険にさらすことにもなりかねません。
――ベビーカーの雨よけカバーをコロナ予防に使用している親御さんもいるようです。
細部:これも必要ありません。これからの季節、蒸し風呂状態になってしまい非常に危険です。ビニールカバーとはいえ隙間などから空気は常に入れ替わっているので、ウイルスも容易に侵入しますし、メリットは一つもないといえるでしょう。
――保育園や幼稚園ではマスクについてどのような対応をしているのでしょうか?
細部:文部科学省は学校に対して「基本的には常時着用(体育の時間など健康被害が発生する可能性が高い場合を除く)」という内容のマニュアルを出していますが、保育園や幼稚園では保護者の判断に委ねられています。
ただ、保育園等でも先生や園児がマスクを着けているところが増えています。他の子どもがマスクをつけているのを見たら「明日から自分の子もつけさせければ」と思うでしょうし、先生たちも「お母さんたちの手前…」と、ある種の“同調圧力”が生じているようです。
保護者もマスクを外して語りかける時間を
――マスクを着けた大人が子どもたちの世話をする場面も増えてきているのですね。
細部:はい、それも私たち小児科医が心配しているところです。子どもたちにとって、親御さんなどお世話をしてくれる人との微笑みの交換は愛着形成の素、つまり“心の栄養”となりとても重要です。人間関係の基礎を形成する大切な時期はせいぜい2歳頃までと言われています。マスクが当たり前となった世の中で、その時期を過ごした子どもたちの発達に今後影響が出てくるのではないかと危惧しています。
自宅では、子どもも大人もマスクは不要です。コミュニケーション能力を高めるためにもマスクを外してお子さんとおしゃべりする時間をできるだけ作ってもらいたいです。
――このご時世、屋外でマスクを外す時間を作ることは難しいですよね……。
細部:そうですね。屋外でも、人混みでなければマスクは不要なのですが、今は世間の目がありますので、しないわけにはいきません。都会でも未就学児はマスクしなくても良い世の中になることを願っています。
――最後に、小さな子どもをもつ親にメッセージをお願いします。
細部:ベビー用のマスクやフェイスシールドなど、実際に商品として売られているものも多いですが、親御さんたちには正しい情報を見極めて、賢い消費者になってもらいたいです。
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この不安な状況で「子どもに何かしてあげたい」という気持ちはよくわかります。ただ、日本小児科医会が「危険」という強い言葉をつかって警鐘を鳴らした、そのことを重く受け止めてほしいです。子どもの病気や育児についての疑問はネットで検索するのではなく、ぜひかかりつけ医などの専門家に相談してください。
<取材・文/鴨居理子>
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