超過死亡について

Facebook・本間真二郎さん投稿記事  6月15日 

超過死亡について・超過死亡① 「COVID-19第1波のまとめ①」

日本を含めたアジアや欧米ではCOVID-19の第1波は収束しつつあります。そこで、現時点でのまとめを何度かにわけてまとめます。

COVID-19の第2、3波の備えを考える上で、第1波から見えてきた新型コロナウイルスの本当の実態を明らかにし、今までの国の対策の評価をすることが大切になります。

その際にとても重要になるのが抗体検査と超過死亡になります。抗体検査に関しては、すでに何度も解説しましたが、現在の市販のキットでは正確性に大きな問題が指摘されています。正確性の高い実験室レベルの抗体検査の1日も早い開発が望まれます。

一方の超過死亡がなぜ重要なのかと言うと、超過死亡は検査(PCR検査、抗原検査、抗体検査)の精度や正確性に左右されない病気の真のインパクトを評価できるからです。

そこで、まずは超過死亡について難しい言葉は一切使わないで説明してみます。詳しくは専門書などをご覧ください。超過死亡とは、ある時期(冬なら冬、1月なら1月)において、過去の平均と比べてある年の死亡数が超過している(つまり増えている)数になります。

超過死亡は、WHOにより提唱され、これまでインフルエンザのより正確な評価に対して使われてきました。

インフルエンザでは、感染した人の全員が病院にかかるわけでも、検査されているわけでも、報告されているわけでもありません。ですから、指定の(定点といいます)医療機関からの報告数だけからでは、インフルエンザによる本当の患者数や死亡数はわかりません。

インフルエンザが流行する時期に超過死亡が発生したら(ほぼ毎年発生しています)、実際の検査数と関係なく、これをインフルエンザによる死亡と推定するのです(正確には様々な補正の計算が入ります)。

日本での例年のインフルエンザによる死亡数は、報告では約3000名くらいですが、超過死亡では約1万人と推定されています。日本でのインフルエンザの致命率が約0.1%と見積もられているのは、例年、インフルエンザには約1000万人が感染し、約1万人が超過死亡と考えられていますので、1万/1000万=0.1%となります。

今回のCOVID-19でもインフルエンザと同様に、正式に報告されている患者数や死亡数は実態とかけ離れている可能性があります。

まず、今報告されている患者数はPCR検査の陽性数になります。しかし、PCR検査は(抗原検査や抗体検査も)以前から精度が問題になっていますし、どのような時に検査するのか、徹底的に検査するのか?ハイリスクだけ検査するのか?などの方針の違いや検査体制はそれぞれの国でまったく異なります。どのように検査、報告するかで患者数はまったく変わってきます。実際に日本での検査数の極端な少なさが指摘されていますね。

次に死亡数は、患者数よりは確実な数字と考えられます(ほとんどの国で国民の死亡数を把握するシステムがあるため)。しかし、死亡したすべての人に新型コロナウイルスの検査をするわけではありませんし、国によっては、介護・高齢者施設やホスピスでは初めから検査をしていなかったりします。また、自宅や路上での死亡例(いわゆる変死)に対する扱いも決まっていません。さらに、マンパワーや設備の問題から検査できない国もあります。

このように報告されている患者数や死亡数は本当の数字とは大きく異なる可能性があります。さらに、これらから計算される罹患率(国民全体での感染する割合)、死亡率(国民全体での死亡する割合)、致命率(感染者あるいは患者での死亡する割合)なども同じです。

また、これらの数値の国際的な比較はできないことになります。

とくに、病気の重要度を示す死亡数は、上に挙げた様々な理由により実際の死亡数からかなり少なく見積もられている可能性が指摘されています。これを補正するのが超過死亡になります。

超過死亡についての最もセンセーショナルな報道は以下になります。

The New York Times誌「コロナウイルスの流行で109,000名の死亡が見逃されている」

https://www.nytimes.com/…/w…/coronavirus-missing-deaths.html

他にも

日本経済新聞5/24「コロナ感染死、把握漏れも「超過死亡」200人以上か」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59508030U0A520C2NN1000/

朝日新聞5/25「世界各国で「超過死亡」コロナ死者、発表数より多い?」

https://www.asahi.com/articles/ASN5S6V61N5FUHBI02G.html

などになります。

逆に、基礎疾患など別の理由の死亡をCOVID-19による死亡にカウントしていたり、保険請求や何らかの意図によりCOVID-19の死亡数が水増しすることにより過大評価しているのではないか?という指摘もあります。

超過死亡は、単純に国全体の死亡数をみますので、数字は検査の種類や正確性に左右されません。それにより、病気の真の重要性を評価し、国際比較できる唯一の指標であり、以下の様々なメリットがあります。

①どんな検査でもわからない真の死亡数と死亡率が推定できる

②それにより、様々な要因による過小評価や過大評価を防ぎ、病気の真の重要性や社会に対するインパクトがわかる

③国によりばらつきのある検査の方針や体制などを補正して比較できる

一方、超過死亡のデメリットは計算による推計値であることと、死亡の原因を問いませんので、もしかしたら、まったく違う原因の死亡数もカウントしているかもしれない点になります。

いずれにしても、超過死亡からは、様々な解析ができますので、今後何回かに渡ってCOVID-19の第1波を様々な角度から検証していきます。

私の新刊「感染を恐れない暮らし方」も発売中です^^

http://urx.blue/0VXK

どうぞよろしくお願いいたします。

これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。

https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2641620056162997


Facebook・」本間真二郎さん投稿記事   6月17日

欧州の超過死亡からみえるCOVID-19の真の姿・超過死亡②「COVID-19第1波のまとめ②」

今回の記事は、検査(PCR検査、抗原検査、抗体検査)の方法や正確性に左右されない超過死亡のデータからCOVID-19の真のインパクトを推定してみます。超過死亡についての解説は前回の記事を参照してください。

https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2723852221273113

データは超過死亡の解析が詳しくなされている欧州の主要20カ国のデータのまとめサイトをもとにしています。

https://www.euromomo.eu/graphs-and-maps…

結論は、超過死亡からみるCOVID-19の真のインパクトは、最も死亡率の高かった欧州で季節性インフルエンザと同等か少し強い程度、死亡率の低かった日本ではインフルエンザとは比較にならない程弱いことになります。

結論はシンプルですが、詳しい解説は以下になります。

とても長いですが、今シーズンの私のベスト投稿になります^^

図をみるととてもわかりやすいと思います。ブログの方が見やすいですので、ぜひご参照ください。

https://shizenha-ishi.com/blog/1378/

まずは、ここ4年間の欧州主要20カ国を合わせた超過死亡の推移を図1に示し、超過死亡の見方とそれに対する解説を加えます(図1参照)。

①例年の死亡数(すべての原因の死亡数)の平均が黒点線、通常起こり得る変動範囲がグレイ、その上限が赤点線になる

②実際の死亡数は青線、超過死亡は青線が下の点線(赤あるいは黒)より上にはみ出た部分になる

単純な超過死亡は黒より上、統計学的に優位な上昇は赤より上になりますが、このホームページでは黒より上を超過死亡と表現していますので、それに準じます。

③超過死亡は2016年から解析されており、主に毎年冬に年をまたいで発生している

例えば2017年冬〜2018年春の時期をここでは2018シーズンと呼ぶことにします。

④山が高いとその週の超過死亡数が多いが、シーズン全体では上にはみ出た部分の面積になることに注意

⑤超過死亡の発生数はシーズン毎で大きく異なっている

実際の超過死亡数を計算してみました。

 2017シーズン 約11.7万人

 2018シーズン 約15.2万人

 2019シーズン 約5.8万人

 2020シーズン 約20.8万人

次に、2017、2018、2019の3シーズンのインフルエンザ報告数と超過死亡との関係をみてみます(図2参照)。

①やはり毎年冬に発生している超過死亡の主な原因はインフルエンザと考えられる

②超過死亡はインフルエンザの流行の時期にあまりタイムラグなく発生している

これはインフルエンザによる死亡は発症から死亡までの期間が短いことが影響していると思われます。

③インフルエンザの発生数が多いからといって必ずしも超過死亡が多いわけではない

そのシーズンに流行したウイルスの種類やその他の様々な影響を受けていると思われます。

では、問題の今シーズン(2020シーズン)をみてみます。

2017〜2020シーズンを通しての超過死亡の推移の図を再び示します(図1参照)。

まず、わかることは、

①今シーズンの超過死亡の発生数は例年より多い

②今シーズンの超過死亡はインフルエンザとCOVID-19の両方によるものが含まれるはず

③今シーズンの超過死亡をよく見ると2つの山からなる

順に解説します。

①超過死亡の発生は例年より多い

まず重要なのは「明らかに今シーズンは例年より多い超過死亡が発生している」ことです。

つまり、今シーズンは、欧州では間違いなく例年に比べて多くの死者が出ていることになります。ですから、一部の人が強調する以下の意見の可能性はとても低くなります。

・コロナウイルスは存在しない

・PCR検査はコロナウイルス以外の他の病原体(インフルエンザ、マイコプラズマなど)を検出している

・基礎疾患など別の理由の死亡をCOVID-19による死亡にカウントされている

・保険請求や何らかの意図によりCOVID-19の死亡数が水増しされている

・・・

これらの可能性ももちろんありますし、一部に実際に行われていると思いますが、少なくても何らかの理由で今シーズンは死亡数がとても多くなっており、常識的には、これは今回のCOVID-19によるものであると考えられるからです。

陰謀論など検証できないことにも、重要な情報がたくさんあります。しかし、例えば「コロナウイルスはない」「データはすべてねつ造」などと一蹴してしまうと、思考停止となり、他の意見との考察や現実との整合性がとれなくなります。

検証できる部分とできない部分をしっかり分けて考えなければ、きちんと解析している人の意見まで信用されなくなることになります。

②今シーズンの超過死亡はインフルエンザとCOVID-19の両方によるものが含まれるはず

ほとんど指摘されませんが、とても重要なことです。今シーズンの超過死亡はCOVID-19だけでなくインフルエンザによるものも含まれるということです。

今シーズンのインフルエンザの発生数は、日本では記録的な少なさになっています(この理由は後の記事で考察します)。今回の解析は欧州になりますので、欧州でのインフルエンザの発生状況をみる必要があります。

煩雑になりますので、昨シーズンと今シーズンの欧州のインフルエンザ発生数だけを図3に示します(図3参照)。

欧州の今シーズンのインフルエンザの流行は昨年と同等の報告数で、ほぼ例年通りに発生しています。つまり、欧州ではインフルエンザによる超過死亡も発生している可能性があります。

この点を踏まえて、今シーズンの超過死亡を詳しくみてみます。

③今シーズンの超過死亡をよく見ると2つの山からなる

注目すべき点は、今回の超過死亡は、よく見ると(45週〜7週の小さい山と9週〜20週に の大きい山)2峰性になっていることです(図4参照)。

今シーズンのインフルエンザ(欧州全体)とCOVID-19(主要20カ国)の報告数、超過死亡を横軸(日付)をそろえて並べてみます(図5参照)。

発生の時期を考えると、おそらく初めの小さい山がインフルエンザ、あとの大きな山がCOVID-19によるものと思われます。後の山の一部はインフルエンンザによるものが混ざっているかもしれません。

初めの山がインフルエンザで、次の山がCOVID-19によるものであれば、今シーズンのインフルエンザによる超過死亡は約3.5万人、COVID-19による超過死亡は17.3万人になります。

もし、2つめの山にインフルエンザによるものが混ざっていたらCOVID-19の超過死亡はもっと少なくなります。

これらの2つの山がすべてCOVID-19によるもの(発生時期的に考えにくいですが)であれば、今年の超過死亡は約20.8万人になります。

結論として、超過死亡からみるCOVID-19の本当のインパクトは最も死亡率の高かった欧州で季節性インフルエンザと同等か少し強い程度になります(最大でも2018シーズンの1.37倍)。

日本での死亡率(人口あたりの死亡数)はさらに欧米諸国の50〜100分の1程度になっており、インフルエンザとは比較にならない程弱いことになります(これについては今後の記事にまとめます)。

インフルエンザは毎年流行し、人類はインフルエンザに対してある程度の免疫を持っています。一方、新型コロナウイルスは初めて登場した誰も免疫をもっていないウイルスとされていますが、そのわりにパンデミックを起こすウイルスとしてのインパクトは高くないことがわかります。

これが、あらゆる検査や報告からは見えてこない超過死亡からわかるCOVID-19の真の姿になります。

コズミックホリステック医療 俳句療法

吾であり・宇宙である☆和して同せず☆競争ではなく共生を☆

0コメント

  • 1000 / 1000