"神宿る"存在

若水を榕樹と分かつ島根かな  五島高資

— 場所: 樫の浦大アコウ樹


http://rieko-sugihara.com/photo_essay/j_tree/nagasaki/20171228_ficus_inNagasaki.html  【長崎一の大きさを誇る奇樹アコウ】 より

木の中にとりこまれていきそうな異空間へ・・・ 

"AKOU" Banyan Tree of Kashinoura in Nagasaki

▽樹種:アコウ(クワ科・常緑高木) ▽学名:Ficus superba▽樹齢:不明

▽樹高:約10m/根周り:約15m▽所在地:長崎県五島市平蔵町1570

※県指定天然記念物(昭和27年2月13日指定) 

【木の特徴】

小さな港のすぐそばを山のほうへと進むと、まさに"神宿る"存在として立っています。海と、海を生きる人々を見守るかのような威風堂々たる姿。木の横にある小道を通って、木の裏手にまわると、そこは人間が入り込んではいけないような異空間が広がっていました。クワ科の大樹ならではの気根が無数に垂れ下がり、1本1本が生き物のように蠢いている・・・と目を疑ってしまう。いつものように気持ちよさそうな空間を見つけ、寄りかかると、あ、アコウの木霊(こだま)が私を・・・。

ああ、木の中にとりこまれてしまう・・・。もしも、1人でここに来ていたら、私はこの木の一部となっていたでしょう。木に寄りかかったまま、一歩も動けないで、ずずーっと気根に巻かれて、垂れ下がる気根と気根の間、その内側へ、奥深くへ、ぐいぐいと体が吸い込まれていくような・・・。

神さまの木、アコウ。この木と出会うために、ご神木や巨樹を巡ってきたような・・・気がしています。(2017年11月27日撮影) 

【アコウ】中国南部から台湾・南西諸島を歴て、九州・四国・本州の暖地に分布する、クワ科の常緑高木。長崎県内では島原半島・長崎半島・西彼杵半島の沿海暖地、五島各地、平戸島から北松浦郡の鷹島、壱岐に、アコウの大樹を見ることができます。その中でも、この「樫の浦のアコウ」は長崎一といわれるほどの大きさを誇っています。根周りは15メートルを越え、樹高は10メートル以上、東西南北へ30メートル以上も枝を張っています。枝はさらに分岐して、枝々からは大小の気根が垂れ下がり、異形の姿をしています。大きい気根だけでも約100本。そのうち、長い気根は地面に達して根づき、支柱根となって、四方八方へと広がる枝を支えています。根元に祀られているのはご水神さま。

【歴史を伝える】

五島・教会めぐりをする途中で寄るといいでしょう。「樫の浦のアコウ」から最も近いのは堂崎教会(写真)。赤レンガ造りのゴシック様式の建築が特徴です。教会内部では布教時代から迫害を経て、現在に至る信仰の歴史が展示されています。絵画は必見。キリスト教によって救われる絵のそばに、信仰を捨てれば地獄に連れて行かれる絵では閻魔大王らしき人物が描かれるなど、日本古来の思想がキリスト教の絵画に取り入れられ、日本での布教の難しさを垣間見ることができます。私は宮原教会、半泊教会(私のベスト1)を経て、三井楽教会~玉之浦教会へ主要な教会を巡りました。


https://www.bookbang.jp/review/article/624183 【神木探偵 神宿る木の秘密 本田不二雄著[レビュアー] いとうせいこう】 より

◆樹木への崇敬 根源を探る

タイトルを見た時から読みたいと思っていた。そして一読、これは自分にとって今年上半期一位の図書だった。

著者は全国の巨木を訪ね歩き、樹木の偉容を示す写真とともに周辺の土地の様子、伝説、時に日本書紀などの記述を紹介していく。神木探偵。

 ここでは事実の掘り起こしと共に、探偵の勘から来る推理が面白い。例えば著者は、そこがもともと神社だったのか、それとも巨樹があったから神域になったのか考える。

 史実が残っていない地方の人里離れた場所であったり、時には千年を超える話であったりで容易に結論は出ない。だがしかし、我々もなんとなく後者が真実ではないかと考えるのではなかろうか。

 巨木が神性を得て祀(まつ)られる。それを疑問なく受け入れる我々は、つまりそこで仏教以前からの宗教心に触れていることになる。明治時代に禁じられた修験道は、実は今でも日本人の心の奥に生きる。

 私自身、イラストレーターみうらじゅん氏と二十数年、全国の仏像を見て回っているが、樹木と仏像の関係は明らかで、すでに二人の常識として「日本の仏像は神木を残すためにある」と考えている。

 インドなら石で作っていた仏像が、なぜ日本では塑像を経ながら木によって作られたか。むろん資源の豊富さは前提だが、それ以上の理由が日本人の樹木への崇敬にある。

 本書にも出てくるが、仏像にはわざとノミの跡を残すものさえあり、それは「もともとが木である」ことの強調だ。そして立像(りゅうぞう)は時に、あまりに垂直に天を向いて立つ。

 こうした感覚の根源を、著者は柳田國男(やなぎたくにお)からも引く。「本来の神社が聖地ないしは樹林であったことが認められる」。我々はやはり樹木を拝んできたのである。

 また著者は熊本県広報誌から刺激的な記事を見つけ出す。九州全域に分布するメアサという杉の大樹を調べると、二十カ所が同じ挿し木からのクローンだとわかったという。巨木の母株が九州に神木ネットワークを形成したのだとしたら……。ここはぜひ探偵を続行していただきたい。

(駒草出版・1870円)

1963年生まれ。ノンフィクションライター、編集者。著書『ミステリーな仏像』など。


https://www.interior-plus.jp/blog/11361/  【アフリカの神宿る木・ブビンガ】 より

アフリカの環境は、やや乾燥したサバンナ草原であり、そこを疾走するシマウマやライオンであって、あまりジャングルがあると言うイメージを持っていませんでした。ですから「ライオンがジャングルで寝ている」というアメリカンポップスの名曲に、ライオンが棲息する場所はサバンナ草原で変だよね、などと思っていました。実はアフリカでも、南大西洋側の大陸の中央部、赤道直下のガボン共和国周辺は、世界でも2番目に広い熱帯雨林で覆われた豊かなジャングルが広がる地域なのです。そしてこの熱帯雨林でジャングルの王として君臨しているのが、ライオン、、、ではなく「ブビンガ」。

ブビンガ (Guibourtia) は、ジャケツイバラ亜科の常緑広葉樹です。幹の直径は3m、樹高は25-30mと熱帯雨林の中でもひときわ大きくなる巨木で、世界中でも硬質材でブビンガ以上の大径木はないと言われています。それが沼地や河川の近くの水分の多い場所に群生してアフリカの原生林を作り出しています。ガボンでは、ブビンガの途方もない巨木を神聖なものとして「神様が宿る木」としてあがめて大切にしていました。

ブビンガは大変硬く、そして非常に重い特徴を持っている木です。木の断面を見ると、外皮近くは淡黄色の色調を帯び、それより内側はチークやカリンに似た華やかな橙-赤色の木材色となっています。伐採仕立ては軽やかな赤系の色を帯びていますが、時間の経過とともに、暗色の縞を持った、深い色調に表面の色が変化していきます。生材の時には独特の匂いを放つので、乾燥は時間をかけてしなければなりませんが乾燥後は無臭になります。

熱帯雨林で四季の無い環境なので、年輪ははっきりと浮き出しませんが、葡萄杢などの華やかな杢目が現れ、自然が作り出した杢の景色を楽しむにはうってつけの木材です。材質は硬く耐腐性があり白蟻にも強く内装材や家具材としても優れていますが、乾燥によって変形しやすいために通常はウレタン塗装で乾燥の進行を防止して使用されます。昨今は美しい杢に人気が出てこのブビンガの巨木が大分伐採され、枯渇するのも時間の問題だと言われています。美しさと希少性でブビンガはますます人気が高くなっています。このブビンガの特徴を一番活かせるのが、1枚板のテーブルやカウンターです。巨大な木の幅を生かしたテーブルは、まさに神様からの授かり物。中心部の華やかなビンテージコニャックの様な色と複雑な杢と縞の景色、そして縁の浅い色との対比は大変存在感がありいつまでも見つめていたい魅力があります。

ところで、ブビンガと言う名前に飛び跳ねるような音楽的な響きを感じませんか?ブビンガの杢の美しさは、楽器とした時に装飾性が高く、またブビンガの木が持つ音質もクリアーな低音、輪郭のはっきりした中高音が出ると、ギターや、ドラム、カホンなど音を奏でる楽器としても大変重宝されています。最近では日本古来の和太鼓の胴部分にも欅の代用品として、ブビンガが使用されています。




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