室根山と朝日
https://dot.asahi.com/wa/2019021400077.html?page=1
【セロトニンだけじゃない! 太陽のパワーを医師・帯津先生が解説】 より
西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のタイトルは「太陽に対面する」。
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【ポイント】
(1)朝日を浴びることでセロトニンを分泌
(2)内モンゴルの日の出で感じた大自然の摂理
(3)太陽に対面して思いにふけってみようニンニクは認知症予防の強い味方になる
大脳の前頭前野から分泌される脳内伝達物質にはドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンがあります。それぞれに独自の働きを果たしていますが、なかでも全体を統率する働きをしているのがセロトニンです。ですから脳を活性化するには特にセロトニンが重要なのです。
セロトニンをしっかり分泌させるためには、いくつかの方法があるのですが、そのひとつに朝日を浴びることがあります。
実は朝日というのが重要なのです。朝のぼる太陽の照度がちょうどよくて、日中の太陽光では、セロトニンの分泌には強すぎるというのです。
陽明学者の安岡正篤先生は、日の出とともに起きて、庭の花に水をやるというのを日課にしていたそうですが、それこそが、セロトニンの分泌には一番いいのです。画家の岡本太郎さんも日の出が好きだったそうです。毎朝、のぼる太陽にむかって「芸術は爆発だ!」と叫んでいたのかもしれません。
私自身は、まだ暗いうちに病院に入ってしまうので、日の出と対面することはあまりありません。土日の出張前には都内のホテルに宿泊することがあり、朝食をとるためにロビーに下りるときに、朝日に遭遇します。ビルの谷間に顔を出す太陽を拝むことができるのです。そんな時は、思わず「延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)」が口から出てきます。
「観世音(かんぜーおん) 南無仏(なーむーぶつ) 与仏有因(よーぶつうーいん) 与仏有縁(よーぶつうーえん) 仏法僧縁(ぶっぽうそうえん) 常楽我浄(じょうらくがーじょう) 朝念観世音(ちょうねんかんぜーおん) 暮念観世音(ぼーねんかんぜーおん) 念念従心起(ねんねんじゅうしんきー) 念念不離心(ねんねんふーりーしーん)」
いやぁ。何とも気持ちがいい。思わず身を正してしまいます。
私が朝日で一番、感動したのは中国・内モンゴル自治区ホロンバイルの大草原での日の出です。遊牧民が住む移動式住居「パオ」に泊まり、まだ暗いうちから外に出ました。それまでに見た日の出は真っ赤な太陽がゆらゆらとのぼってくるものでしたが、全く違っていました。ここでは太陽が地平線に顔を出すやいなや、ピカッという一瞬の閃光とともに、地平線まで続く草原全体が黄金色に輝くのです。
このときは延命十句観音経ではなくて『易経(えききょう)』の一行がひらめきました。
「天行(てんこう)は健(けん)なり。君子は以(もっ)て自彊(じきょう)して息(や)まず」
大自然の摂理というものを身にしみて感じ取ったのです。
少し話が変わりますが、以前、詩人の伊藤比呂美さんと対談したときに、当時カリフォルニアに住んでいた伊藤さんは日想観にはまっているとおっしゃっていました。日想観は朝日ではなくて、夕日を拝むというものです。太陽が海に沈む直後に空の色が変わるそうです。光が反射して雲がすごい色に変わっていく。それをずっと見つめながら、伊藤さんは人の死について思いを深めたそうです。素晴らしいことですね。
太陽には、セロトニンの分泌を助ける作用以上の力があるように思います。時には日の出や日没に対面して、思いにふけってみましょう。
http://www.masuda.ed.jp/wp-content/uploads/2018/12/hoken-5.pdf#search='%E6%9C%9D%E6%97%A5%E3%82%92%E6%B5%B4%E3%81%B3%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B'
【朝日とセロトニンについて~幸せのためにカーテンを開けよう~】
もう10年以上前の話になりますが、我が家の寝室のカーテンを遮光カーテンにしました。忙しい日々を送っていたので、「めったにないけど、予定がない休日の朝くらいはゆっくり休みたい。朝日を気にせず寝られるように・・・。」と考えたからです。確かに、遮光カーテンを閉め切ると、部屋は昼間でもかなり暗くなります。朝寝坊には適するのではないかと思っていました。しかし、今は、少し後悔しています。暗い寝室に入ると、なんとなく気持ちも少し暗くなるような気がするのです。
感情のコントロールを担っているのは、脳内ホルモン「セロトニン」という物質なのだそうですが、セロトニンは別名「ハッピーホルモン」とも呼ばれます。充分に分泌されているときは気持ちが明るく、前向きに物事を捉えることができるのですが、不足してくると気持ちが沈んだり、イライラしたり、物事を悲観的に捉えたりするそうです。
セロトニンが不足すると、普段は笑って済ませるようなことに腹を立てたりして、周囲との人間関係のトラブルにもつながってしまうような気がします。このセロトニンの分泌が不足する要因としていわれているのが、ストレス、運動不足、適正な睡眠がしにくい生活環境ということのようです。言い換えると、ストレスと上手につきあい、適度な運動をし、適正な睡眠をとることは幸せを感じるためにも重要だということです。
高校生は、自転車や徒歩での通学、体育や部活動の時間などで、ある程度の運動はできているのではないでしょうか。
私も昔、育児休暇を取っていたときは、朝6時頃から1時間弱くらいウォーキングをしていましたが、さわやかに1日が始まった気がします。(育休中の日中は子どもの面倒をみなければならないので、まだ妻が家にいる早朝に出かけていました。)
問題は適正な睡眠の方ではないかと思います。大昔、電気もない頃は、人はおそらく、朝日とともに起きて活動して、日暮れとともに就寝の準備に入るという生活だったのではないかと思うのですが、現代社会には適正な睡眠を妨げるいろいろな要因があります。高校生に課されるたくさんの宿題もそうかもしれませんが、昔とは生活スタイルが変わり、テレビも夜遅くまで放送していますし、PCやスマホは時間に関係なく使え、いろいろな誘惑もあります。また、24時間営業のコンビニもあるので、昔と違って、夜にいろいろな活動をす
ることも可能です。
良い眠りにはメラトニンというホルモンの分泌が大切だそうですが、夜に明るい光を浴びることや、明るい場所で眠ることは、メラトニンの分泌を減らし、良い睡眠を妨害するそうです。パソコンやスマートフォンのディスプレーからはブルーライト系の強い光が発せられるし、携帯電話からの電磁波はメラトニンを分解してしまうことも知られているそうなので、特に寝る前の使用は控えた方がいいかもしれません。
また、明るい太陽の光を浴びると、体内時計がリセットされて、前向きに物事を考えるセロトニンの作用が強くなるそうです。考えてみると、日照時間が短い冬や雨の日より、日照時間が長い夏や晴れの日の方がなんとなく明るい気分になることが多いような気がしませんか。特に朝日を浴びると効果が高いそうです。寝室はできれば遮光カーテンではなく、朝日が差し込むようなカーテンにするなどして、朝日とともに目覚める工夫をするのがよいそうです(笑)。
また、メラトニンは、朝日を浴びた約 15 時間後に分泌が増加してくるそうで、例えば朝7時頃に朝日を浴びれば、15 時間後の22時頃に眠くなるのだそうです。また、朝日はセロトニンの分泌も促すそうで、昼間にセロトニン、夜間にメラトニンの好循環をつくりだすためにも朝日は特に重要であるそうです。
健康のために「早寝、早起き」ということを聞きますが、「健康→上機嫌→幸せ」とつながっていくので、幸せのためにも、「早寝、早起き」です。また、「朝日→セロトニン→幸せ」とつながっていくので、脳科学的にも、幸せになるには「朝日、運動、笑顔(作り笑顔可(笑))」ではないかと思います。
疲れのたまる毎日ですが、幸せな休日を過ごすために、休日であっても朝早く寝室のカーテンを開け、「早起きして、笑顔で、ウォーキング(笑)」はどうでしょうか。(う~ん。(笑))
最近、なんだか少し憂鬱だなという人は、運動と笑顔(作り笑顔可)以外にも、睡眠と「カーテンを開けて朝日を浴びること」も意識してみてはどうでしょうか。 (文責:西田)
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