疫病と戦う漢方医学

https://news.so-net.ne.jp/article/detail/1958936/  【疫病と戦う漢方医学の智慧】

                2020年 04月24日 04時18分提供元:Ballooon

白虎湯の構成生薬の一つは粳米(稲)である(大紀元)

大紀元

日本脳炎は、ウイルスによる感染症である。ワクチンの普及によって、最近は発症者が少なくなったが、かつて、大流行したこともあった。この病気に対して、現代医学では特別な治療法はなく、対症療法のみである。死亡率は20~40%で、生存者の半数以上は脳にダメージを受け麻痺などの重い後遺症が残る。

1950年代に中国の河北省で日本脳炎が流行した。当時、患者の治療と感染拡大を有効に抑えるために、全国から漢方医学の有識者を招いた対策検討会が開かれた。専門家たちは、患者の病状と環境や季節の要素を分析した結果、白虎湯という処方が治療と予防に適当だと考えた。そして、この処方を投与した結果、患者はほとんど後遺症なく治癒され、流行も抑えられた。

しかし、翌年に同じ地域で再び日本脳炎が流行した。前年と同じように白虎湯を投与したが、効果が得られなかった。困ったところに、再び有識者の対策検討会が開かれた。専門家たちは、患者の病状と環境や季節の要素を再度分析した結果、その年は降雨が多く湿気が強かったことが、白虎湯でうまく行かなかった原因だと考えて、白虎湯に湿の邪気を追い払う生薬の蒼朮(そうじゅつ)を加えるようにアドバイスした。このように処方が変化した後、見事に効果が得られた。

白虎湯(びゃっことう)は、ほぼ2千年前の医学書である『傷寒論』に記載されている処方で、石膏(せっこう)、知母(ちも)、粳米(こうべい)、甘草(かんぞう)などの4種類の生薬から構成されたものである。体外の実験では、抗ウイルスの効果はないが、体質と病状に合わせて飲ませると、インフルエンザや風疹、麻疹、猩紅熱などさまざまな高熱を出す感染症に効果がある。 体質、病状、環境などの要因を総合に考えて治療することは、漢方医学の特徴の一つである。


https://www.kouwakai-nakamura.jp/colum-0167.html  【漢方薬解説シリーズ「白虎加人参湯」】

今回は『白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)』という漢方薬についてお話します。古典によれば、何らかの病気にかかった後に発汗したがまだ治らず、体の芯に熱をもって、しかも口渇がひどいような場合に用いられました。つまり、急性感染症や熱中症(昨年はこの話をしました)などによるいわゆる脱水状態に用いられたわけです。

現在こういう状態では、点滴など適切な治療がありますから、漢方薬で対応することはまずありませんが、「口渇」「ほてり」を伴う状態には応用されます。

いわゆる「暑気あたり」の軽度の場合には有効ですから、以前に水分補給の際のペットボトルの水の中に『白虎加人参湯』を溶かして入れておくと熱中症対策になることはお話しました。

急性疾患でなくても熱がこもるような慢性疾患にも応用できますので、アトピー性皮膚炎の増悪時で熱を持っている場合には『白虎加人参湯』で、もしくは『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』などを併せて症状の鎮静化を図ることがあります。

また多汗症にも用いて有効な場合があります。この場合に汗の特徴は、「暑がり」にともなうものです。「涼しいところで一人だけ汗をかいていて恥ずかしい」というような更年期症状の頑固なほてりを伴う汗には『白虎加人参湯』を用いることが多いです。一方、自汗という気虚(「気」が不足の状態)による汗(寝汗などによくみられます)には皮膚のしまりを良くする「黄耆(オウギ)」を含んだ『黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)』などを用います。同じ汗でもこの違いを見極めることが大切です。

シェーグレン症候群の「口渇」にも用いることがあります。『麦門冬湯(バクモンドウトウ)』も潤す効果がありますのでよく用いますが、「口渇」が激しい場合には『白虎加人参湯』の方が有効です。それでもおさまらない「口渇」には『三物黄芩湯(サンモツオウゴントウ)』を追加するとよいことがあります。

もう夏場の暑いピークは過ぎていますが、夏に「暑くて寝られない」という方には寝る前に服用してうまくいくことがあります。最近では「夏カゼ」に『白虎加人参湯』を用いて発熱時間が短縮できるという報告もあります。『白虎加人参湯』は「口渇」と「ほてり」をキーワードに様々な疾患に応用できますので、参考にしてみて下さい。


https://www.data-max.co.jp/article/35327 【免疫が弱い高齢者や基礎疾患のある方は重症化しやすい】

米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、新型コロナウイルスによる世界全体の死者は4月13日現在で約11万4千人。国別では米国の死者が、スペイン、イタリアを上回り2万2千人と世界最多となった。米国は感染者数も約55万7千人で最多である。これは、中国全土の感染者約8万2160人、死者約3341人の約7倍に相当する。

 今回の「新型コロナウイルス」騒動を中医学ではどのように見るのか。(社)日本統合医療学園 理事長・学長の吉村吉博薬学博士に聞いた。吉村先生は研究・教育そして臨床のかたわら、中医学の伝道師として年間100回を超える講演を行う。また感染症研究の世界的機関「米疾病対策センター」(CDC)での研究経験がある。

(社)日本統合医療学園 理事長・学長 吉村 吉博 氏


中医学の観点から、「新型コロナウイルス」はどのようにとらえられるのでしょうか。

吉村 吉博 氏

 吉村 中医学は人ばかりでなく、物事をマクロ的、地球的規模を超えた、宇宙的規模でみる世界観があります。新型コロナ対策には「3密」も重要ですが、その前に人の免疫を高めることが必要です。人から人へ感染するウイルスですが、すべての人に感染するわけではありません。同じ会社内でも、同じ学校内でも、かかる人とかからない人がいます。その差はまさに個人個人の免疫能に依存しています。免疫が弱い高齢者や基礎疾患がある方は感染すると、防御機能が働きにくく、ウイルスなどを下気道から肺へと侵入させてしまい、重症化しやすいことが分かっています。一方、若い方でも生活の不摂生や睡眠不足で免疫が弱くなっていると感染して重症化しやすくなります。医師などの医療従事者は非常に忙しい状況にあるため免疫低下が懸念され、さらに患者との接触が密になることから感染のリスクが高くなっています。

 中医学ではコロナウイルス(新型も含む)を、インフルエンザウイルスや季節性かぜウイルスとは区別しません。ウイルスなどは同じ邪気(風邪(ふうじゃ))として捉えます。

従って、季節性のかぜの場合の「証」(症状から判断する病証)は「風寒証」、インフルエンザの場合は「風熱証」として診ることができ、そして、新型コロナの場合は、症状から他のウイルスよりもタイムラグがありますが「風熱証」として捉えることができます。そのための治療法は、証として同じであればコロナウイルスだけを特に区別する必要はないのです。

西洋薬には重い副作用があり、アビガンも例外ではありません

 ――現在、新型コロナウイルスの「ワクチン」はありません。できるまでには、早くても1、2年はかかると言われています。中医学として、どのような対処方法を薦められますか。最近著名なアメリカの雑誌に漢方薬「双黄連口服液」が効くと載っていました。

 吉村 現代医学で新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいます。一般的には数年かかるといわれていますが、今回は特例で1年以内の開発を目指しています。また、現存する治療薬の有効性も摸索されています。新型インフルエンザ治療薬の「アビガン」、エイズ治療薬の「カレトラ」、喘息薬の「オルベスコ」、急性膵炎治療薬の「フサン」などが試されています。最も有力なものはウイルスRNA合成を阻止するアビガンと言われています。アビガンは初期に有効で、発症6日以内に投与すると14日目に91.4%が改善され、重症化を防ぐことが認められています。

 重症化を防ぐことから医療崩壊に朗報かもしれません。しかし、西洋薬には重い副作用があります。アビガンもその例外ではなく、異常行動や催奇形性(妊婦には“禁忌”)の報告がされています。

https://www.data-max.co.jp/article/35330  【「中医学」と「感染症」、それは闘争と共存の歴史である!】2020年04月22日 07:00

今回新型コロナ対策にいくつかの中医・漢方薬が試されました

 中医学の本場である中国では、新型コロナ対策にいくつかの中医・漢方薬(中国では中成薬と称されています)が試されました。

 感染者はステージによって症状、すなわち「証」が異なります。以下は証別の効果的中医・漢方薬です。参考にして頂ければ幸いです。

正常、もしくは濃厚接触した場合

 「板藍根」(バンランコン)が効果的。板藍根入りの飴も大人気。板藍根はアブラナ科の植物の根を乾燥したもの。中国では、冬の健康維持に欠かせない素材として知られる。

感染したが症状が出ていない場合

 「双黄連口服液」は効果的であるが、日本では入手が困難なので、その類似処方である「銀翹散」(ギンギョウサン)が効果的。

感染者(軽症) 80%

 「銀翹散」と「荊芥連翹湯」(ケイガイレンギョウトウ)が効果的。

感染者(中等症)18%

 「清肺排毒湯」(セイハイハイドクトウ)が効果的。日本では入手困難だが、煎じ薬として処方が可能。

感染者(重症) 2%

 特殊処方(石膏や知母を中心に証に合せて調薬)

 中国における「清肺敗毒湯」の後ろ向きコホート(疫学調査)では、感染者(軽症55%、中等症35%、重症10%)に6日間投与した結果、81%の人に改善がみられました。また投与3日目で87%の人に解熱効果が認められました。当該処方は副作用がなく日本でも用いることが薦められます。

 ちなみに、感染者(中等症)を超えると、現代医学(西洋医学)には治療薬がなく、対処療法として、「人工呼吸器」や「酸素吸入器」、さらに重症になると「体外式膜型人工肺」(ECMO)に頼るしか方策がないのが現状です。

何よりも中国数千年の「実績・結果・成果」が証明しています

 ――現代医学(西洋医学)がわずか数百年の歴史しかないのに比較して、中医学を含めて伝統医学(「アーユルベーダ(インド)」、「ユナニ医学(イスラム)」、「チベット医学(チベット)」など)には数千年の歴史があります。中医学の観点から、現在の私たちが学べる知恵はございますか。

吉村 吉博 氏

 吉村 現代医学が明治維新以後、急速に発展して、これまで数千年にわたり用いられてきた中医学は日本ではマイナーな医学になりました。中医学(漢方薬)は、『黄帝内経』(BC770年)から始まり、『傷寒論・金匱要略(張仲景)』~『神農本草経』~『本草綱目』~『万病回春』~「中国医学の統一化(1949年 毛沢東)」~現在まで長い歴史があります。古くて慢性疾患しか効かないという誤解されたイメージがありますが、疫病(「感染症」を含む)が多かった明治維新までは、中医・漢方薬で治療を行ってきました。

 現代は、「エビデンス、エビデンス」と何かにつけて漢方薬のことを叩く現代医学のドクターもおられますが、私は「温故知新」ではありませんが、歴史や経験をもう少し重んじる必要があると思っています。エビデンスよりも中国数千年の「実績・結果・成果」がそれを証明しているからです。私は常々現在エビデンスがない状態を非科学ではなく、「未科学」(これから証明され科学となっていく部分)と呼んでいます。数千年にわたって行われた試行錯誤は、ある意味では、「科学を超えている」と言えるかも知れません。

(つづく)

https://www.data-max.co.jp/article/35361  【中医学は「邪正闘争」におけるバランスを考えています】

 ――先生は常々何か起こった時に右往左往するのではなく、日頃から「生活習慣『生活養生』」を改善して、免疫を高める食事『医食同源』(『薬食同源』が正しい)、適度な運動、睡眠をとる+『心の養生』」が重要と言われます。その観点からアドバイスを頂けますか。

 吉村 読者の皆さまは、新型コロナ対策の予防法を毎日耳にタコができるぐらい聞かされていると思います。「手の消毒をする」「マスクをつける」「3密(密閉・密集・密接)を避ける」などです。

 私はこの中で、マスクによる新型コロナ感染の予防には、やや疑問を感じています。サージカルマスクは直径5μm以上(主に医療現場で使われているN95マスクは0.3µm以上)の粒子を除去するとされてます。しかし、現在分かっている情報では、新型コロナウイルスは0.1μm程度の大きさ(細菌は約1μm)であるため、飛沫感染の観点からはほとんど効果がありません。ただし、マスクは手からの鼻周辺への接触を防ぎ、のどを潤すことから全く意味がないわけではありません。

 現代医学(西洋医学)は新型コロナをいかに死滅させるか、また感染した場合は体からウイルスをいかに追い出すかということに重きを置いています。それに対して中医学は、養生学から派生した学問です。養生学とは、「自分の健康は自分で作る」というセルフメディケーションの考え方です。病気になったらどうするかではなく、病気にならないようにするために、自分で自分の身体をどう管理するかです。

吉村 吉博 氏

 現代医学では、菌やウイルスを「敵か味方か」、「善玉か悪玉か」という捉え方しかしません。一方、中医学は物事をマクロ的にとらえ「邪正闘争」(二元論)のバランスを考えています。身体の免疫(正気)とウイルス(邪気)とのバランスが崩れたときに病気は発症し、邪気があっても正気が強ければ病気は発症しないという考え方です。例えば、私たちのお腹には100兆以上の個性豊かな腸内細菌たちが住み着き、私たちが健康に暮らしていくお手伝いをしてくれています。つまり、共生しています。菌は善いこともすれば、悪いこともします。あくまでもそのバランスが大事なのです。そのためには何よりも1次予防すなわち生活の養生が大事です。新型コロナに打ち勝つための養生は、新型コロナに特化したものではありません。

 すなわち、精神(ストレスにより免疫が低下)、食事(腸内フローラの活性化を促す発酵食品・水溶性食物線維などが推奨)、運動(NK細胞をアップさせる)、睡眠(休養は免疫を賦活させる)、規則正しい生活などの「日々の養生」が重要なのです。私は今新型コロナ対策で運動やコミュニケーションが制限されて、逆に免疫が低下してしまうことを懸念しています。政府も「散歩」は奨励しています。不要不急でなくても、近くを散歩し、公園などに出かけてリラックスすることは大切です。空気感染はしませんので、井戸端会議をやらなければ問題はありません。

 さらに家庭内ではたくさん会話をし、友だちとは電話やオンラインミーティングで構いませんので、頻繁にコミュニケーションをとることなどをお薦め致します。

 最近は「ドメスティック・バイオレンス(DV)」の加速度的な増加が新聞でも話題になっています。また、私が相談を受けた知人の娘さんもそうですが、精神的に弱い方は、家に閉じこもって新型コロナのニュースを聞くだけで心臓がドキドキされる方も増えています。これでは、逆に免疫力が大きく下がってしまいますので「邪正闘争」に負けてしまいます。

お茶(特に緑茶)をこまめに少しずつ飲むこともお薦めです

 ――本日は、とても有益なお話を有難うございました。最後に、読者の明日にメッセージを頂けますか。

 吉村 新型コロナの対策としては、前述した精神、食事、運動、休養、生活習慣の一次予防が大事です。毎日毎日新型コロナのニュースで国民の恐怖心を煽っているため精神的に「コロナ過敏症」なっている方が多いです。そのため、時には新型コロナのニュースには耳を傾けないで過ごすことも大事です。自分の好きな趣味や運動などを行い、友人・知人などに電話で連絡して楽しい会話をすることも重要です。

 外出時には、板藍根(ばんらんこん)のエキスや板藍根の喉飴(漢方薬局で販売)を用いることもお薦めです。板藍根は中国でSARSの流行時にも用いられ、大きな効果を発揮したものです。またガムを噛むことによっても唾液が出て、抗菌、抗ウイルス効果をもたらすばかりでなく、咽(ウイルスの多くは喉に入ります)の乾燥を防ぎます。

 かぜの予防と同様にお茶(特に緑茶)をこまめに少しずつ飲むこともお薦めです。帰宅したときには、手洗い後にアルコールによる消毒が有効です。アルコールは手ばかりなく、目をつぶって、口や鼻にもやさしく噴霧するのも効果的です(目には“禁忌”なので注意)。調理器具やドアノブの消毒には、最も殺菌効果が高い次亜塩素酸(HClO)(5%のハイターをキャップ1杯5mLに500mL水で希釈して0.05%とする)を用いてください(手の消毒には臭いが残るので“禁忌”)。最後に繰り返しになりますが、新型コロナ対策においても、私が常々申し上げている「予防は最大の治療なり」が生きています。

(了)

【金木 亮憲】

【中医学】数千年という長い歴史に裏付けられた、中医薬学理論と臨床経験に基づく中国伝統医学、いわゆる「中国漢方」のことを言い、「日本漢方」とは一線を隔している。日本漢方は中国からの影響は『傷寒論・金匱要略(張仲景)』(414年)の時代(レベル)で止まり、鎖国を経て、現代医学(西洋医学)の影響も一部では受けながら、今日まで独自の道を歩んできた。

【証(しょう)】中医学の治療指針となるべくもので、西洋医学で言うところの病名(診断名)に相当するものである。一般的に証は弁証といわれる、脈診、問診、触診などから導き出され、病の状態を現す。中医学では、この方法によって導き出された証に基づき鍼灸・漢方薬の治療方針を決定する。からだが病気とどんな闘い方をしているかをみて、その時のからだの状態(体質、体力、抵抗力、症状の現れ方などの個人差)などの観点から診断する。

<プロフィール>

吉村吉博氏(よしむら・よしひろ) 

 日本統合医療学園学長、星薬科大学大学院博士課程修了、星薬科大学助教授、日本薬科大学漢方薬学科教授、アメリカ合衆国疾病対策センター(CDC)にて研究、漢方吉村薬局顧問、東京農業大学・東京家政大学・星薬科大学非常勤講師。

 著書として『中医漢方医学の基礎』、『中医漢方医学の生薬と処方』、『中医漢方医学の治療と症例』、『予防は最大の治療なり』、『登録販売者攻略テキスト』、『登録販売者根底300題』(以上、日本統合医療学園)『基礎薬学(必須講座薬剤師国家試験対策)』(日本工業技術連盟)、『分析化学〈2〉』(南江堂)、『わかりやすい機器分析化学』(広川書店)他多数。メディア出演として「発掘あるある大辞典」(フジテレビ系)、読売新聞、日刊ゲンダイ他多数。



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