天皇陛下、ライフワーク「水」と感染症

https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/66 【新型コロナウイルスに関するご発言】

尾身茂新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長 ご進講(令和2年4月10日)

(天皇陛下)

今日はお忙しいところ時間をとっていただきありがとうございます。尾身さんが,新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長として,新型コロナウイルス対策に大変尽力されていることに深く敬意と感謝の意を表します。また,これまで,日夜,現場で医療などに携わってこられている多くの関係者のご努力を深く多としています。

 現在,世界各地で新型コロナウイルスが猛威をふるっています。我が国でも,人々の努力と協力により,爆発的な感染がなんとか抑えられてきましたが,このところ東京などを中心に感染拡大の速度が速まってきていることなど事態の深刻化が懸念されております。医療提供体制のひっ迫が現れ始めていると聞き,先日は,政府による緊急事態宣言も出されました。

この度の感染症の拡大は,人類にとって大きな試練であり,我が国でも数多くの命が危険にさらされたり,多くの人々が様々な困難に直面したりしていることを深く案じています。今後,私たち皆がなお一層心を一つにして力を合わせながら,この感染症を抑え込み,現在の難しい状況を乗り越えていくことを心から願っています。


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2020年6月11日-新型コロナウイルスの影響が続くなか、天皇陛下は11日、自身がライフワークとする「水 問題」と感染症との関わりについて説明を受けられました。陛下は11日、お住まいの…( 2020年6月11日 21時23分21秒)


天皇陛下、「コロナと水災害」などで進講お受けに|au Webポータル ...

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2020年6月11日-新型コロナウイルス感染症への対応をめぐり、天皇陛下は11日、水防災や国際協力の専門家である広木謙三・政策研究大学院大学教授から、感染症と水の関わりをテーマに説明を受けられた。 「水」問題の研究をライフワークとする陛下は、 ..


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2020年6月11日-新型コロナウイルスの影響が続くなか、天皇陛下は11日、自身がライフワークとする「水 問題」と感染症との関わりについて説明を受けられました。 陛下は11日、お住まいの赤坂御所に、水防災の専門家で政策研究大学院大学の広木謙三 ...


https://jomf.or.jp/report/kaigai/22/1.htm  【病原体(細菌、ウイルス、寄生虫)】

東京医科歯科大学医学部医動物学教授 藤田 紘一郎

はじめに

健康であるということは、体の内部環境が正常な状態に保たれていることであり、体機能を正常に保ち、健康維持のために、水分の補給は非常に大切である。尿や発汗などによって失われる水分を補給するため、成人で1日に2~3リットルの水が必要となる。それゆえ安心して補給できる「水」は健康維持のため必要かつ重要となる。日本など先進諸国において水道水による健康障害で問題になっているのは、第1に、工場や家庭から出る様々な化学物質による汚染である。その一つにトリハロメタンなどの発ガン性物質がある。そして、クリプトスポリジウムやランブル鞭毛虫の水道水への混入による集団下痢症である。一方、海外の熱帯・亜熱帯地域の途上国では病原体混入による健康障害が大きな割合を占めている。本稿では健康に影響を及ぼす「水」の因子について概説する。

生命維持のための水

今から45億年前、この地球上に原始生物が海から誕生した。水なしでは生物は誕生しなかったのである。その原始生物が進化し、人類が出現した。それ以後、人間として進化を完成するまで、これをはぐくんできたのはやはり「水」であった。 このようにして完成したヒトの体は65%が水から構成されている。体内の水は約50%が細胞内に、約20%が組織内に、約7.5%が血液内に含まれている。骨も1/3は水である。

ヒトは体内に含まれている水のうち、たった10%が失われただけでも危機的な状況に陥る。そして、20%も失われると死亡してしまう。このように「水」は人間の生命維持に極めて重要な存在である。

「水」は人の組織に浸透し、塩類や分泌物を溶解し、人体諸器官の活動の媒体となっている。その他、食物の消化や栄養の吸収や運搬、老廃物の排泄、呼吸、循環、体温調節作用までも「水」が中心的な役割を果たしているのである。

途上国の熱帯・亜熱帯地域では、熱帯に不慣れな日本人が急に熱帯の気候にさらされると、発汗などにより水分と塩類とくに食塩の不足が原因で体温調節作用がうまく働かなくなり、熱中症や熱射病に陥ることが多くみられる。熱帯地での屋外作業には、前もって0.2%程度(ミネラルウオーター1リットルに食塩2g)の食塩水を十分に補給するなど、水分の補給が大切となる。

病気を運ぶ水

熱帯・亜熱帯地域の人々は生活のあらゆる面に「水」を利用し、「水」に親しんでいる。しかし、彼らは水が病原微生物を含んでおり、それが病気の原因になるという観念をほとんど持っていない。(表)に示したようにA型・E型肝炎、伝染性下痢、ポリオ、細菌性赤痢、腸チフス・パラチフス、コレラ、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症、回虫症、鞭虫感染などの原因となる病原微生物は、保菌者や病気の人々の糞便に主として排泄され、それが直接的、間接的に「水」を介して経口的に感染し、新たな患者を発生させている場合が多い。

1993~1994年の2年間に日本全国237の伝染病棟で入院治療を受けた伝染病患者は1,095名であった。患者数は赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス、水痘の順であった。そして、その患者の53%が国外での感染であった。つまり、在留邦人には同様の感染機会があるということである。実際、ジャカルタ在留の大使館員およびその家族が1年間にどんな病気にかかり、病院に入院したかをジャカルタの医務官が調べている。それによると第1位は腸チフスで、入院した邦人の実に1/3がこの病気であった。ついでA型肝炎、アメーバ赤痢の順であった。ダッカの日本大使館医務官によると、雨期には下痢を起こす消化管感染症が要注意で、腸チフス、赤痢、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症、回虫症、鞭虫症などに在留邦人もかなり感染するが、幸いにも、在留邦人にはコレラ(ベンガル型)の患者は発生していないそうだ。

途上国では、経済状態や気候の影響を直接受け、日本のように一定した水質、水量を常に確保できない。そのことが雨期の感染症発生につながっているものと思われる。

世界銀行の資料によると、東南アジアで安全な水を利用できる国民の割合は、フィリピンで約80%、インドで75%、中国で約70%、インドネシアは40%程度である。途上国では、工業化を進めるため、水資源を工業用水に回したり、電気、ガスなどに比べ、上下水道の整備が後回しになったりしているため、市民が安全な飲料水を確保できるようになるには、まだまだ時間がかかると思われる。

水が媒介する病気

「水」を介して感染する病気について簡単に説明する。

1)A型・E型肝炎

 A型・E型肝炎患者の糞便中に排出されたウイルスが飲料水や貝類に取り込まれ、ヒトはその水を飲んだり、貝を食べたりして感染する。A型肝炎は、初期症状として発熱(38.5℃以上)、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、全身倦怠感など感冒様症状が現れ、続いて急性肝炎として発症するが、慢性化することはない。発症後4~8週間で治癒する。E型肝炎にはビルマ株、パキスタン株、中国株、メキシコ株などと同定されているように東南アジア、中南米でときに流行が見られる。潜伏期間は6週間。A型肝炎より感染力は弱い。慢性化することもない。ただし、妊婦がE型肝炎にかかると劇症化し、死亡することがあるので注意が必要である。

 その他、飲料水などから感染するウイルス性疾患としては、ロタウイルスによる下痢症がある。とくに小児に多い。

2)細菌性感染

 コレラ:コレラ菌が小腸粘膜に付着してコレラ毒素を産生することによって、水様性下痢を起こす。しかし、現在流行しているのはエルトール型菌で臨床症状は軽微である。今回、水を採取した地域はすべて汚染地区になっている。バングラディッシュには激しい水様性下痢を起こすO139型コレラ菌(ベンガル型)も流行している。雨期の洪水の後には患者が多発する。

 腸チフス・パラチフス:起因菌であるチフス菌、パラチフスA菌はサルモネラの一種である。パラチフスは腸チフスより症状は軽微である。潜伏期は1~3週間。感染後徐々に体温が上昇し、1週間くらいで39~40℃になり、その後1週間くらい高熱が続く。その後熱は弛緩型になり徐々に解熱する。このころから、胸部や上腹部に淡紅色の小丘疹(ばら疹)、下痢や便秘がみられ、腸出血がみられることもある。細菌性赤痢:赤痢菌が大腸粘膜内に侵入・増殖して化膿性炎症を起こす。少ない菌量でも感染が成立する。

3)原虫感染

 赤痢アメーバ:大腸粘膜内に侵入・増殖する。病原性の種はイチゴゼリー状の下痢を起こす。そのまま放置すると数年後に転移し肝膿瘍などを起こす。非病原性の種は無症状でシストを排出する。アメリカにおいても1994年までに8件の水系流行が発生し、1,495人の患者が出ている。しかし、衛生環境が整備されていない途上国の比ではない。

 ランブル鞭毛虫:小腸上部、胆嚢に寄生して下痢を起こす。多数寄生で胆管炎を起こす。日本でも水道水取水口付近の河川でかなり検出されている。シストは通常の塩素消毒に抵抗性を示すので、水道水中でも感染性がある。

 クリプトスポリジウム:日本では1996年、簡易水道水からの集団感染例がある。感染型のオーシストは塩素消毒に極めて抵抗性が強い。海外旅行者から散発的に患者が出ている。激しい下痢を起こすが健常者では1~2週間で免疫ができ、治癒する。

 サイクロスポーラ:ネパールでは下痢でクリニックを訪れた外国人に患者が多くみられる。雨期に患者が多発している。最近アメリカで、汚染された水道水を散水したグアテマラ産ラズベリーから集団発生があった。水様性下痢。クリプトスポリジウム症より下痢は長く続く。

4)寄生虫感染

 回虫・鞭虫:糞便中の虫卵が外界で発育し、水や野菜を介して経口的に感染する。少数寄生では気がつかない人が多い。ジャカルタの水道水のように土壌中の汚水を吸入している地域に多くみられる。

なぜ病原体が「水」に混入するのか

 開発途上国の水道は水道管の老朽化によってサビが混じったり、腐食して外部から雑菌・汚水などが侵入したりするケースがよく見られる。1つの河川で洗濯、沐浴、汚水の排水、飲料水の取り入れなどを行っている地域では、病原菌による感染症の蔓延が避けられない。こうしたことは、適切な水道設備があれば避けられるのだが、その水道水が大腸菌などによって汚染されているというのが現状である。

 なぜ、水道水が大腸菌などに汚染されているのだろうか。たとえば、インドネシアの首都ジャカルタは都市化、近代化に伴って、高いビルが林立し、人口が急増している。加えて、ジャカルタ周辺には人口増加に対応できる水源となるような大きな河川がない。水道は水量が不足し、蛇口をひねるだけでは水が出てこない状況である。そのため、各家庭では水道水を導管から直接ポンプで吸いあげて地下貯水槽に溜め、さらにポンプアップして高所の貯水槽に水を溜めている。そして、この高度による落差を利用して蛇口をひねるだけで水が出るようなシステムにしている。水道管には破裂を防ぐために小さな穴があいている。日本の水道管は常に陽圧になっており、供給源で120の水があったとすると、末端では100になるようになっている。ところがジャカルタでは、水圧が低くなり、水道管は常に陰圧になっているので、ジャカルタでは供給源で100あったものが末端では120になっているのである。つまり、土中の汚水を吸入しているのである。

 ジャカルタの下水道の普及は3%未満といわれ、オランダ統治時代からほとんど手つかずの状態である。そして、ほとんどの家庭のトイレは土壌に直接「吸い込み式」のもので、糞便は水に流して土中に吸い込ませているのである。つまり、水道管に穴があいていると、陰圧の水道管の中には種々の雑菌や病原菌が混入することになる。

水道水からどんな細菌が検出されているか

 われわれが毎年行っているジャカルタの飲料水検査で、大腸菌群が検出された水道水は、1983年は実に検体の50%にも及んだ。今年7月の検査では、5/24(20.8%)の水道水に大腸菌群が検出された。依然としてジャカルタの水道水は細菌汚染があり、変わっていなかった。しかし、最近では高層マンションに居住する邦人が増えており、マンション全体で浄化するなど、多少は改善されてきていると思われる。

 これらの飲料水中に見出された細菌類の集落について、鑑別を行ったところ、Pseudomonasシュードモナス属細菌が水道水や井戸水に検出された。次いで検出されたのは、Aeromonasアエロモナス属細菌であった。シュードモナス属細菌は水や土、汚水中に存在し、その中では緑膿菌が有名である。糞便系汚染の直接的指標となる大腸菌(Escherichia. coli)の検出は第3位であった。これらの菌は、いずれも日和見的に下痢を起こしたり皮膚を化膿させたりする病原性の細菌である。また、SalmonelaサルモネラO3、O7群が井戸水より検出された。サルモネラ属にはチフス菌や食中毒を起こす菌が含まれ、腸チフスが飲料水を介して感染する可能性を示しているものと思われる。インドネシア各地の飲料水の細菌汚染状況を調べてみると、人口の集中しているジャカルタの水道水が最も糞便系汚染にさらされていることもわかった。

飲料水の汚染と寄生虫感染との関係

 このように汚染された水道水を利用している在留邦人がどのような寄生虫に感染しているのだろうか。以前の調査では、タイ・インドネシア在留邦人の実に8%に寄生虫感染がみられた。一方、インド・パキスタンなどの南西アジアに在留する邦人の寄生虫感染率は2.5%、ケニア・タンザニアなどアフリカでは2%、パナマ・メキシコなど中南米諸国では1.5%の在留邦人が寄生虫に感染していた。しかし、クウェート・カタールの中近東在留邦人では寄生虫感染はみられなかった。一方、これらの在留邦人が飲用している飲料水の細菌学的検索を同時に行ったところ、大腸菌群の検出率はタイ・インドネシアの在留邦人の水道水が最も高く71.6%、続いて東アフリカ、中南米、南西アジア地域の水道水で大腸菌群陽性率がそれぞれ34.9%、32.4%、25.6%となった。水道水の汚染の割合とこの水を使用している在留邦人の腸管内寄生虫・原虫感染率との相関を調べてみると、大腸菌群の検出頻度の高い水道水を使用している在留邦人ほど腸管寄生虫に感染しており、両者の相関は直線関係になった(相関係数=0.957)(図)

 しかし、世界各地に在留している邦人は、飲料には、ミネラルウォーターや浄水器でフィルターした水、煮沸した水を使用している。それにも関わらず、このような結果が得られたことは、飲用以外に汚染された水道水が口に入るルートがあることを意味している。食器や生野菜に付着した水滴から病原微生物が口にはいる可能性は思ったより多いのかもしれない。歯磨きや手洗いの際に汚染され、感染することも考えられる。生活水を含めて浄化する必要があるだろう。

水の硬度の影響

 旅行でいろいろな国を訪れると下痢をする人が多い。もちろん、飲料水中の病害微生物が原因であることも多いが、何も治療をしなくても1週間くらいで治ってしまうような下痢の場合は、その地域の飲料水中の硬度が高い場合が考えられる。

 硬水は煮沸によって飲料水中のカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)が沈殿して軟化する「一時硬水」と煮沸によって軟化しない「永久硬水」とに分かれる。永久硬水はカルシウムとマグネシウムがそれぞれCaSO4、MgSO4の形で水中に存在し、容易に軟化しない。軟水化するためにはイオン交換樹脂による方法が簡単である。

 硬水は機械的な下痢を起こしたり、皮膚を荒らしたり、飲食物の味を悪くしたり、肉類の煮えが悪かったり、石鹸の泡立ちが悪かったり、腎結石や胆石の原因になったりする。このように並べると硬水はあまりよい効果を与えていないように思える。しかし、硬水を飲んでいるヒトの方が軟水を飲んでいるヒトより長寿者が多いことが知られている。ただ硬水を飲んでいると言うだけで、脳卒中や心臓病の死亡率が低くなることが明らかになっている。

 そのメカニズムは次のように説明できる。高年齢者はカルシウムの取り方が不足している。その上、摂取したカルシウムの腸管からの吸収も悪いので、血液中のカルシウムが不足がちになる。すると、体の中の副甲状腺がカルシウムの補給を求める「SOS」を出し、副甲状腺ホルモンが出はじめる。すると、骨の中に含まれているカルシウムがどんどん血液中に溶出し、補給する。血液中のカルシウム量は自分の骨から補給されたカルシウムで十分になると、SOSの信号は自動的に停止する。しかし、高年齢者の場合は、いささかボケておりこの微調整が効かず、SOS信号を出し続け、骨の中のカルシウムは必要以上に血液中に溶け出すことになる。血液中に多量に溶けだしたカルシウムは血管壁に付着し、血管は弾力性を失い、動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳卒中などを起こしやすくなる。硬水を飲んでいると、血液中のカルシウム量は適量を保っており、副甲状腺はSOSを発しなくても良く、血管壁に過剰のカルシウムがつくこともない。硬水を飲んでいると動脈硬化になりにくいのである。

 また、血液が酸性(アシドーシス)の状態になっていると、自然に骨や歯の中のカルシウムが溶け出てくる。アシドーシスとは、過労の場合や細胞が老化したときの状態である。肉類や砂糖などの酸性食品を取りすぎた時もアシドーシスになる。アルカリ性食品を食べ、疲れにくい体にし、カルシウムの血中への溶出を防ぐことも大切となる。

 飲料水中の硬度はカルシウムとマグネシウムによって規定されている。では、マグネシウムはどんな作用を人体にしているのであろうか。疫学調査で、Mg/Caの比の低い水を飲んでいる地域の人に尿路結石症が多くみられている。さらに、尿路結石症の多い地域は花崗岩を代表とする深成岩地帯であり、尿路結石症の少ない地域は玄武岩を代表とする噴出岩、堆積岩からなっていた。こうした地質と水道水中のMg/Caの比の関係をみてみると花崗岩地帯ではMg/Caの比が低く、玄武岩地域や堆積岩地域ではMg/Caの比が高くなり、前述の結果と一致する。水中のカルシウムは確かに細胞を若くしたり、心臓病を予防したりするが、多すぎれば尿路結石を起こすこともわかった。また、マグネシウムは結石の形成を予防することも知られている。マグネシウムは、尿路結石の主成分であるシュウ酸カルシウムをカルシウムと競合することで溶かしている可能性があるのだ。

おわりに

 東南アジアの高温多湿の気候は、生産性の高い水稲耕作を可能にした。そして、長い歴史を通じて定住の勤勉でやや内向的な農民を国民的原型たらしめた。彼らは、隣人と仲良くし、長上を敬う人々であった。一方、空気の乾燥に加えて酷暑の自然条件の中で遊牧生活を強いられている人々は排他的、攻撃的ないわゆる「砂漠的人間」になってしまった。このように同じ熱帯でも、自然環境の違い、とくに「水」との関わりの違いで異なった人間性が作られ、疾病構造にも違いがみられる。砂漠地帯では「水」は非常に重要であり、水を介して砂漠独特の風土病を成立させている。灌漑事業により局地的な風土病の住血吸虫症をより広域に拡大してしまった。また、水の重複利用によって、メジナ虫症やウイルス性肝炎を流行させている。湿った熱帯では水を介してコレラや腸チフス、赤痢、アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎などの感染症が流行し続けている。

 われわれが海外の発展途上国で保健衛生上、心配ない生活を送るための基本は「水の衛生」にあると言っても過言ではない。それは飲料水だけではなく、むしろ大量に使用する生活用水を含めて十分配慮されるべきであると思われる。自らの健康を守るためにも、安全な飲料水の確保は重要である。




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