https://www.kango-roo.com/word/11858 【グラム陰性桿菌】
グラム陰性桿菌とは・・・
グラム陰性桿菌(ぐらむいんせいかんきん、gram-negative bacilli)とは、グラム染色で赤色に染まるグラム陰性菌の一種である。グラム陰性菌は、グラム陰性桿菌やグラム陰性球菌に分類される。グラム陰性桿菌の感染によるショックは、エンドトキシンショックと呼ばれる。
【グラム陰性桿菌の分類】
■腸内細菌科
大腸菌、肺炎桿菌、赤痢菌、チフス菌など
■腸内細菌科以外の腸管病原菌
カンピロバクター‐ジェジュニ、コレラ菌など
■ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌
緑膿菌、アシネトバクターなど
■呼吸器関連のグラム陰性菌
インフルエンザ菌、レジオネラ‐ニューモフィラ、Q熱コクシエラ、百日咳菌
■嫌気性グラム陰性桿菌
バクテロイデス‐フラジリスなど
引用参考文献
1)松本哲哉.微生物学検査.系統看護学講座 別巻 臨床検査.第7版,医学書院,2016,244-248.(ISBN9784260018036)
http://jsv.umin.jp/microbiology/main_021.htm 【グラム陰性菌】
https://georgebest1969.typepad.jp/blog/2019/11/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E9%99%B0%E6%80%A7%E6%A1%BF%E8%8F%8C%E3%81%8C%E6%8C%81%E7%B6%9A%E8%8F%8C%E8%A1%80%E7%97%87%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%9F%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E3%81%8B.html 【グラム陰性桿菌が持続菌血症をもたらすとき、どういった原因を考えるべきか】
テーマ:グラム陰性桿菌が持続菌血症をもたらすとき、どういった原因を考えるべきか。
グラム陰性桿菌による菌血症は、典型的には一過性菌血症の像を呈することが多く、適切な抗菌薬治療と感染源のコントロール開始後には急速に消失することが一般的である[1]。しかしXXグラム陰性桿菌のCitrobacter spp.が血液培養から1週間以上検出されていた。このような状態の時、どのような原因を考えるべきか疑問に思い、上記のテーマとした。
一般に、持続菌血症(persistent bacteremia)は菌が間断なく流血中を循環している病態であり、感染性心内膜炎に代表される。血管グラフト感染、感染性動脈瘤、化膿性血栓症でも持続的菌血症を示すことがある[2]。感染性心内膜炎による菌血症は、グラム陽性球菌(特に黄色ブドウ球菌)によるものが81.5%を占めるが、HACEK(ヘモフィルス・パラフロフィルス、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス、カーディオバクテリウム・ホミニス、エイケネラ・コロデンス、キンゲラ・キンゲ)と呼ばれるグラム陰性菌による感染性心内膜炎も少数ながら見られる[3]。また血管グラフト感染についてもブドウ球菌によるものが約80%を占めるものの、グラム陰性桿菌(主に大腸菌、緑膿菌、クレブシエラ属)による血管グラフト感染も報告されている[4]。またグラム陰性菌特有の持続菌血症としては、ブルセラ症や腸チフスなどの全身性の細菌感染2、エンテロバクターが知られている[5]。
グラム陰性桿菌による持続菌血症のリスクファクターについて、私が調べた範疇では、該当する症例が8例と少なすぎるために十分な解析できなかった1という報告があったのみであった。また20人のグラム陰性桿菌の持続菌血症患者を観察した研究では、消化管由来の腹腔内膿瘍(8人)、腎由来の膿瘍(4人)、血管内感染(3~5人)、肺膿瘍(2人)、汚染された輸液(1人)、感染した切断端(1人)が原因であったという報告があるが[6]、この論文は1973年に出版されており、現状の医療状況を反映しているとはいいがたい。したがって、グラム陰性桿菌の持続菌血症の時に疑うべき原因について、感染性心内膜炎や血管グラフト感染、感染性動脈瘤、化膿性血栓症、膿瘍などがあげられるものの、その原因別の頻度はわからなかった。
[1] Christina N Canzoneri, et. al., Follow-up Blood Cultures in Gram-Negative Bacteremia: Are They Needed? Clin Infect Dis. 2017; 65, 11, S1776–1779
[2] Seifert H : The clinical importance of microbiological findings in the diagnosis and management of blood stream infections. Clin Infect Dis. 2009 ; 48 : S238-245
[3] Murdoch DR, et. al., Clinical presentation, etiology, and outcome of infective endocarditis in the 21st century: The International Collaboration on Endocarditis-Prospective Cohort Study. Arch Intern Med. 2009 Mar 9;169(5):463-73.
[4] Hasse B, et.al., Vascular graft infections. Swiss Med Wkly. 2013 Jan 24;143: w13754
[5] Lee CC, et.al., Timing of follow-up blood cultures for community-onset bacteremia. Sci Rep. 2019 Oct 10;9(1):14500
[6] John A. Harris,C.Glenn Cobbs, Persistent gram-negative bacteremia Observations in twenty patients. Am J Surg, June 1973
https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0714.html 【エンドトキシン】
グラム陰性桿菌の細胞壁の構成成分であるリポ多糖類(LPS)であり,さまざまな生物活性を有する物質。グラム陰性桿菌の死滅や破壊にともない,エンドトキシンが体内に侵入すると,単球・マクロファージの細胞膜レセプターであるCD14およびTLR (Toll-like receptor) -4によって認識される。その結果,シグナル伝達経路を経てNFkBが活性化され,TNF-α,IL-1,IL-6,やIL-8などのサイトカインのほか,アナンダマイド,2-AG,プロスタグランジンなどの炎症性メディエータが産生される。これらのメディエータの相互作用により血管内皮障害や血管透過性亢進,好中球や凝固系の活性化を惹起し,ショック(エンドトキシンショック)や多臓器不全を生じる。エンドトキシンショックに対する治療としてエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)がおこなわれている。
https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/seikagaku_seitaibogyo/html/endotoxinshock.html 【エンドトキシンショックにおけるLL-37とCAP11の防御的作用】
エンドトキシン(lipopolysaccharide, LPS)のシグナル伝達経路として、菌体から放出されたLPSがLPS輸送タンパク(LPS-binding protein, LBP)と複合体を形成して、LPS受容体のCD14に運搬され、さらに、それがシグナル伝達分子のToll-like receptor(TLR)と反応し、転写因子NF-κBの活性化を介して、サイトカイン生成を誘導し、エンドトキシンショックの病態を引き起こすと考えられている。
グラム陰性菌感染による敗血症に対して、抗生剤を投与すると、LPSが遊離してエンドトキシンショックをおこすことがある。生体内殺菌ペプチドであるLL-37とCAP11は細胞外での殺菌作用に加えて、LPSの作用を中和して、サイトカイン生成を抑えて、エンドトキシンショックに対して防御的に働く。その機序として、ペプチドがLPSに結合してLBPとの複合体形成を阻害し、CD14にLPSを運搬するのを抑制することと、CD14のLPS結合部位に結合してLPSのCD14への結合を阻害することが考えられる。
http://www.wako-chem.co.jp/lal/lal_knowledge/talk_lal/tlal-41.pdf#search='%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%88%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF' 【第 41 話 エンドトキシンショック】
今回は、エンドトキシンの生体に対する影響の中から、エンドトキシンショック、特にそのメディエーターについて考えてみましょう。ショックとは、種々の原因によって循環系の均衡破綻によって急性循環不全が生じ、諸臓器・組織の機能不全をきたす病態とされています ショックは、循環血液量減少性、心原性、敗血症性、神経原性、アナフラキシーなどに分類されており、その特徴は血圧の低下です。エンドトキシンに最も関連したショックは、敗血症性ショックです。エンドトキシンの生物活性の中で、発熱性、致死活性と共に、ショックはその代表といえるでしょう。大量のエンドトキシンを動物の血管内に投与すると、ショックが起こります。この場合、ショックはエンドトキシン刺激による生体反応の結果であり、その過程では種々のメディエーターが関与していると考えられています 。
1960 年代のカテコールアミン、ヒスタミン、セロトニン、キニンに始まり、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、血小板活性化因子、NO、サイトカインと様々な物質が主役として登場してきました。1990 年代の主役は、やはりTNF、IL-6 等の炎症性サイトカインと思われます。
さて、臨床の方面では、ショックを治療する目的で、これらの主役を働かせないようにする方法が試みられてきました。例えば、エンドトキシンに対するモノクロナール抗体や TNF 抗体、IL-1 抗体などです。しかし、これらの治療法は、モデル系では効果が認められましが、実際の臨床検討では有用性が十分証明されず、医薬品として認可されるには至っていません
エンドトキシンショックにおいて、エンドトキシン自身や各種サイトカインは、最も重要な因子でないということなのでしょうか。最近、エンドトキシンショックのメディエーターの主役候補として注目されている物質に、内因性カンナビノイドがあります。カンナビノイドとは、大麻の麻薬成分で、脳内で多量に発現しているCB1レセプターを介して、多幸感、幻覚記憶の障害など、多彩な精神神経反応を引き起こす物質です。
CB1 の他、脾臓、マクロファージ等に発現している CB2も、カンナビノイドレセプターです。CB1、CB2 に対する内在性のリガンドとして発見された物質が 2- アラキドノイルグリセロール及びアナンダマイドで、これらを内因性カンナビノイドと呼んでいます。内因性カンナビノイドは、アラキドン酸の誘導体で、麻薬作用の他、血圧低下作用、アポトーシス誘導などの作用が報告されており、LPSの作用で単球や血小板から放出されると考えられています 。
すなわち、LPS 刺激で内因性カンナビノイドという血圧を低下させる物質が放出されるわけです。さらに、これらの内因性カンナビノイドがポリミキシン B に結合することが発見されました。ポリミキシンBはエンドトキシンと強く結合することが知られる抗生物質で、これを固定化したカラムは、血中エンドトキシンの除去を目的とした医療用具として使用されています。このカラムはエンドトキシンショックの治療に用いられますが、エンドトキシンのみならず内因性のカンナビノイドを除去することにより治療効果があるという可能性が示されたわけです。このあたりの研究は、鹿児島大学の丸山征郎教授の研究室で行われており、今後興味深い論文が発表されることが期待されます。
これまで、エンドトキシンショックのメディエーターとして非常に多くの物質が注目されてきました。しかし、エンドトキシン抗体や各種サイトカインの拮抗剤が治療薬として認知されなかったことを考えても、最も重要なメディエーターが何かは明らかになっていないと思われます。内因性カンナビノイドは、今後どのように研究されていくかは予想がつきませんが、現在最も注目されている物質の一つであることはまちがいありません。今後の研究の
進展が期待されます。
〔参考文献〕
1)小川道雄 :「知っておきたい侵襲キーワード」, p. 32-35,(メジカルセンス)(1999).
2)中野昌康 , 小玉正智(編)「エンド : トキシン」, p. 60-61,(講談社サイエンティ
フィク)(1995).
3)中野昌康 , 小玉正智(編)「エンド : トキシン」, p. 203-226,(講談社サイエン
ティフィク)(1995).
4)真弓俊彦 他 : Lisa, 6, 860(1999).
5) Varga, K. et al.: FASEB, 12, 1036(1998).
6) Wagner, J. A. et al.: J. Mol. Med., 76,824(1998).
7) Wang, Y. et al.: FEBS Let., 470, 151(2000).
次回は「第 42 話 エンドトキシンの糖鎖」の予定です。
【細菌学総論 4 抗菌化学療法】
DoN top DN pooooy Do p N to Copy oNo D to C yp otCo op C ...(Adobe PDF)
www.med.osaka-cu.ac.jp/bacteriology/b-online/mihon.pdf
2 グラム陰性桿菌. ・・・ 93. 3 グラム陰性球菌. ・・・ 116. 4 グラム陽性桿菌. ・・・ 119. 5 嫌気性菌. ・・・ 127. 6 抗酸菌. ・・・ 129 ... ジオネラは、構造上グラム陰性菌に属し、 培養. された菌は染まる ... 競合阻害とは、標的となる酵素の基質結合部位に本来の基質が結合できなくすることで阻害す. る機構である。 ... ベンゼン環がつながった環状構造)を有する抗. 菌薬。 ... はいずれも、転写調節因子等の他の複数の遺伝.
環境微生物の遺伝子伝播と環境適応 ・進化 - J-Stage(Adobe PDF)
www.jstage.jst.go.jp/article/microbes1996/11/1/.../_pdf
転移因子, および遺伝子の垂直および水平伝播が. 深 く関与する。 1-1. ... くりした変異ではこの代謝系酵素の出現を説明す. ることはできない。 ... ベンゼン代謝遺伝子benABCDは. きわめて. 類似して ... 進化系統的解析から, グラム陰性菌の bph 遺伝子群は ...
0コメント