新型コロナウイルス感染とサイトカインストームと血栓症の関係について

https://omiyaever.jp/column/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E3%81%A8%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%A0 【新型コロナウイルス感染とサイトカインストームと血栓症の関係について】  [2020.05.07]

こんにちは。本日は5月7日、埼玉県は自粛が延長されて初日なりました。我々、大宮エヴァグリーンクリニックは徹底したウイルス感染予防策を実施しながら診療を継続しております。やはり自粛の中でも泌尿器や消化器の病気になる方はいらっしゃいますので、クリニックが空いていることで非常に感謝されることもあります。患者様だけではなく、スタッフの感染予防も徹底しておりますので安心して当院に御受診ください。

さて、今回は以前コラムでも書いた新型コロナウイルス感染と血栓症に加えて、話題のサイトカインストームを加えてのお話です。2020年4月27日の英国医学雑誌のLancetにも新型コロナウイルス感染とサイトカインストームと血栓症についての論文が掲載されました。その内容も踏まえてわかりやすく説明できたらと思います。

サイトカインとは

まずサイトカインとは細胞からでるタンパク質で、他の細胞に命令を伝達するための物質です。サイトカインは様々な種類がありますが、具体的な名前としてはインターフェロンやインターロイキンというよく聞かれる名前もあります。

サイトカインが細胞から血液中に分泌されると、発熱や倦怠感、頭痛、凝固異常などが起こります。サイトカインが分泌されるのは身体を守るためであり、身体に異常が起きているのを知らせるためでもあります。

新型コロナウイルス感染が肺に起こり細胞に炎症が起きると、サイトカインがその細胞から分泌されます。先述の通り、他の細胞に肺に炎症が起きたことを伝えるのと、炎症を抑えるよう他の細胞に命令するためです。

サイトカインストームとは

感染の量が多くなると、炎症の量も多くなり、サイトカインも大量に放出されます。それをサイトカインストーム(サイトカインの稲妻、サイトカインの暴走、免疫暴走)と呼んでいるのです。

サイトカインストームが起きるとどうなるか

先述の通り、ウイルス感染が大きくなるとそれに伴い大量のサイトカインが放出されサイトカインストームが起こります。ウイルス感染に関わらず細菌感染でもサイトカインストームは起こります。サイトカインストームが起きると、サイトカインによる影響が過剰に起こります。先述したように発熱や倦怠感、凝固異常が過剰に起こることになり、全身状態の悪化や血栓形成に繋がります。

新型コロナウイルスと血栓症について

新型コロナウイルスと血栓形成については2つのパターンがあると言われております。

サイトカインストームによる血栓形成

先述の通り、大量のサイトカインが発生するサイトカインストームにより血液の凝固異常が起き、血栓形成が起こります。それによって心筋梗塞、肺塞栓、脳梗塞、下肢動脈塞栓が起こる可能性があります。

この場合、そもそも新型コロナウイルスによる肺炎が大きいため、肺炎の症状が主症状となりもし死亡してしまっても死因は肺炎になるでしょう。

しかし、肺炎という診断でお亡くなりになっても心臓や肺や脳に血栓があった例は多数報告されております。

感染初期の段階で新型コロナウイルスが血管を攻撃し血栓を形成

2020年4月20日の英国医学雑誌LANCETに掲載された仮説で、新型コロナウイルスが肺を通じて血液内に入り、血管を攻撃するのではないかという内容の論文が発表されました。

正確には血管のACE2受容体(アンジオテンシン変換酵素2受容体・・・ 肺や腎臓や小腸に多い物質)と呼ばれる部位です。

血管を傷付けることで血栓が生まれます。

この仮説が正しいとすると、最近報告されるコロナ患者様の突然死(心筋梗塞や肺梗塞の可能性)や、アメリカでの若いコロナ患者様の脳梗塞も説明できると思います。

つまり、肺炎自体はそんなに重症ではないのに血栓が出来て、心筋梗塞や脳梗塞になってしまうのです。もちろんサイトカインストームにはなってない状態です。

今後の治療の展望

新型コロナウイルスの重症化にはサイトカインストームと血栓が関わっていると考えられます。

これもすでにLANCETで発表された内容ですが、サイトカインを抑えるような免疫抑制療法もすでに検証が始まってます。また抗血栓薬を予防的に使用している病院もたくさんあるようです。

これらの治療で重症化率が下がることは期待出来そうですよね。

アビガンも承認され、レムデシビルも承認目前ですので、明るいニュースが徐々に出てまいりました。

自粛についても今月できっと解かれることを祈りましょう。

これからも皆様に明るいニュースをお届け出来たらと思います。

現在当院では徹底した新型コロナウイルス感染対策をしながら診療を継続しております。

またオンライン診療も行っております。

全国どこからでもオンライン診療は可能です。泌尿器科、消化器科、内科でお悩みの方は是非上記のリンクか下部のバナーよりご相談下さい。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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