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【天国への手紙も受け付けてくれる「漂流郵便局」とは?】
届けたくても、届けられないーー。
そんな思いを受け止めてくれる「漂流郵便局」が、香川県の小さな島にポツリと立っています。
宛先は、いつかのどこかの誰か
こちらは瀬戸内国際芸術祭の作品の一つとして制作されたプロジェクト型アートです。外観は紛れもない「郵便局」ですが、日本郵便株式会社とはまったく無関係。あくまでアート作品です。
ただし、建物自体は1991年まで実際の郵便局として使用されてきたもの。内装もほぼ当時のままです。
ここには、全国から寄せられた手紙が展示されています。
それらの宛先は、今は亡き両親だったり、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんだったり、まだ見ぬ運命の相手だったり。なかには、人へ宛てたものではなく、自分の思い出のなかにある風景に宛てた手紙まであります。
現実には、「届けたくでも届けることができない手紙」たち。それを受け付けてくれるのが漂流郵便局なのです。
その手紙の内容をいくつか見てみましょう。
天国のお姉ちゃんへお姉ちゃん、突然天国へ旅だったあの日から、今年で19年がたちます。私も今年28歳になります。お姉ちゃん、お父さんお母さんも元気よ。お姉ちゃんの死を受け入れることは決して容易なことではなかった。でもね、お父さんとお母さんは本当に強かった。まっすぐ前だけを見つめて、しっかりと前進したよ。私は、この両親だったからこそ、今の自分があると思っています。お姉ちゃん、私今幸せだよ。お姉ちゃんの分まで、しっかりと人生を歩み、しっかりと親孝行するね。だからちゃんと見守っていてね。そして何十年後お姉ちゃんのところに行ったときには、思いっきりハグして、ギューってしてね。愛してる。(妹より)
みらいのぼくちゃんとしてる?べんきょうスポーツもちろんならいごともしかしてもうならいごとしてない?かのじょできた?もしかしてけっこんした?してたらいいな?まあぼくがいいたいことはみらいでもがんばってということだからいろんなことに挑戦してね(かこのぼく)
とてもパーソナルな内容ですが、漂流郵便局の手紙は、すべて公開されており、訪れた人は読むことができます。
その中から69通を収録した書籍『漂流郵便局』も、全国書店にて発売中。実際に行けなくても、心温まる文面の数々に触れることができます。
スタッフは現代美術家と
元郵便局長
ここを守るのは、制作者である現代美術家の久保田沙耶さんと旧粟島郵便局局長を17年間務めた中田勝久さん。
久保田さん曰く、漂流している手紙がもし「自分宛てのものだ」と感じたら、中田局長に申し出て、その手紙を持ち帰ることも可能なのだとか。
「伝えたくても伝えられない想いを手紙にすることで、気持ちが楽になってもらえればうれしい。私が元気な間は、漂流郵便局の局長を続けていきたい」とは、中田さんの弁。
あなたの心に秘めた、いつかのどこかの誰かに届けたい想い。漂流郵便局に送ってみてはいかが?
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